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5 まとめ

 

最後に、神戸市におけるさらなる民間活力の活用策、いわゆるPFI法に基づくPFIの導入に向けた展望について触れ、本報告のまとめとしたい。

 

冒頭でも述べたように、神戸市におけるPFI導入への取り組みは、まだ始まったばかりであり、今後、国の動向や他都市の先進事例の取り組み等を注視しながら検討を進めていこうとする段階である。

しかし、昨今の厳しい経済情勢による税収の低迷とあいまって、あの震災から6年目を迎えた今日、これまでの復旧・復興事業の推進に要した莫大な財政需要に伴う多額の市債発行によって、起債制限比率が平成10年度決算で20%を超えるなど、本市の財政状況はまさに危機的な状況にある。

こうした財政状況の下にありながら、現在でもなお経済をはじめとする神戸のまちの復興度合を示す各指標が震災前の8割程度にまでしか回復していないという厳しい現実を鑑みると、震災復興10カ年計画の後期5カ年の推進にあたっては、これまで以上に民間投資の誘発と重点的・効果的な公共投資のあり方が厳しく問われることになる。

 

このため、本市では神戸医療産業都市構想をはじめ、神戸の持つ地域ポテンシャルを最大限に活かし、国内外の民間活力の参入を促進することで地域経済復興の核となり得る各種プロジェクトを積極的に打ち出しているところであるが、これらを何としても成功させ、真の復興と持続的発展可能なまちづくりにつなげていかなければならない。

このような視点で考えた場合、PFIを含めた民間活力の導入による社会資本整備は、まさに神戸のまちの復興と今後の発展の鍵を握るといっても過言ではなく、市の総力を挙げて取り組むべき緊急かつ最重要の課題である。

 

(仮称)御崎公園スタジアムにおける公設民活方式の反省・課題等を十分に踏まえつつ、本報告書の中で、自治省をはじめ各都市にご教示いただいた貴重な考察や先進事例への取り組みに学びながら、神戸市版PFI導入指針の策定に向けて邁進する決意である。

 

 

 

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