4 おわりに
英国で誕生したPFIの理念や手法は、非常に優れたものであり、我々に発想の転換の大切さを教えてくれているのではないかと感じている。
PFIは、そもそも「小さな政府」を目指したサッチャー政権による行財政改革の流れを受けて登場したものであり、必要不可欠な公共事業を効率的に実施し、住民の支払う税金のVFMを高めようとするものである。
日本においても、官民が対等の立場で明確なパートナーシップを構築し、各々の持つ強み、弱みを十分に認識した上で、適切な役割分担を果たしていくことは、今後の日本の社会資本整備を進めるにあたって、ぜひとも必要なことであろう。
PFIは言うまでもなく、必要かつ質の高い財やサービスをより効率的に提供することで、市民の福祉の向上を図るために導入すべきものである。
自治体においても、本当に必要な公共事業の実施に際し、最も適切な事業手法の選択ができる能力を高めていく必要があるのではないだろうか。
そのためにも、中・長期計画行政と行政評価及び公会計制度を相互に活用し、21世紀に向け、行政が果たすべき役割を明確化するためのシステムづくりを進めていくべきであろう。
また、国においても、PFIが成り立ちうる風土づくりのため、一層の普及啓発を進めていただくとともに、地方公共団体に対しては、事業主体が独自性を発揮し、自主的にPFI事業に取り組むことができるための環境整備、具体的には、国から地方への税財源委譲を伴う地方分権や許認可制度の見直し、公有財産等に見られる法制・税制上の規制緩和、補助金・交付金制度の見直し等に向けた前向きな検討をぜひお願いしたいと考えている。