1 はじめに
平成11年9月24日にいわゆるPFI法が施行され、新しい社会資本整備の考え方であるPFIが日本にも正式に導入された。
日本版PFIは、現時点では理念的なものを具体化していく過程にあるが、我々自治体としても、PFIが今後試行錯誤を重ねながらも、日本の構造的な改革に結びつくような仕組みとして日本の経済システムに定着していくことを期待している。
また、PFIの導入に向けた取り組み自体が、社会資本整備のあり方そのものを抜本的に見直すきっかけになるのではないかという期待も抱いている。
なぜなら、PFIが成立するための必要条件というものが、従来の日本の公共事業を実施する際には、ともすれば軽視されてきたと思われるからだ。
例えば、PFIでは収益に裏付けられた採算性や効率性が重要視されているが、従来の日本の公共事業では、安全性・網羅性をより重視するとともに、定められた積算基準や技術仕様、さらには決められた予算内での執行に重点が置かれていたと言えるのではないだろうか。
また、事業者の選定に関しても、PFIの手法では価格だけでなく、事業会社の新技術や創意工夫、事業スキームや運営体制、さらには資金調達を含めた総合判断により適切な事業主体を選定するのであるが、従来の日本の公共事業の入札においては、現在改善が図られつつあるが、ほとんどの場合一定の条件を満たした請負者が提示する価格が選定の決め手となっていた。
さらに、PFIで求められる公募から事業選定、実際の事業運営に至るまでの透明性の確保やリスク分担を明確化した契約手続きも、PFIで示された新しい視点であり、公共事業のあり方を根本的に見つめ直す際の重要な尺度になるものと思われる。
その他にも、発注方法は仕様発注から性能発注へ、資金調達方法も、コーポレートファイナンスからプロジェクトファイナンスの活用へと、PFIには新しい発想が散りばめられており、1つひとつが単独でも優れたものであると言うことができる。