1. はじめに〜行財政の運営
地方公共団体の基本的な役割は、市税や市債を財源として、道路、公園、下水道等の基礎的な生活環境の整備を進めることや福祉サービスをはじめとする各種の行政サービスを提供することにより、市民生活の向上を図ることにあるが、これまで右肩上がりの良好な経済状況の中で、都市化の進展などを背景として増大した行政需要に対し積極的に対応してきたため、行政が担う分野が拡大する傾向にあった。特に本市は、政令指定都市への移行の前後から、活力と豊かさに満ちた市民生活の実現をめざして、大都市として必要な基盤整備を積極的に進めてきた。
しかしながら現在、国及び地方の財政状況は、多額の借入金を抱え今や危機的といわれる状況にまで陥っており、本市においても、市債残高が急増し公債費などの義務的経費が年々増加してきており、市税収入においては、今後とも大きな伸びを見込むことは困難な状況にあることから、政策的な経費に充てることができる財源は圧縮され、財政の硬直化、ひいては行政の硬直化が懸念される。
一方、少子・高齢化社会の到来、情報化・国際化の進展、グローバルな環境問題への市民意識の高まりなど、目まぐるしく変化する時代の流れの中で、市民のニーズも多様化し、市政に求められる課題も多岐にわたってきている。
このような状況の中、今後とも増大が予想される市民ニーズに的確に対応していくためには、行政運営を簡素かつ効率的なものにする必要がある。事業の推進にあたっては、常に提供するサービスの効用が最大のものとなることをめざし、市民サービスの向上を図っていくため、時代の流れや社会的要素からその必要性が希薄となったものは大胆に見直しを行い、市民が真に必要とする新たなニーズに応えていくことが重要である。とりわけ事業推進や行政サービス提供の主体である行政の運営体制については、そのあり方を根本から見直し、効率化を進めていく必要がある。民間に委ねることが可能な事業については、民間に委ねるとともに、行政が主体となる事業においても積極的に委託化を図るなど、民間の力を活用していくとともに、個々の事業の進め方、内容について、徹底した効率性の追求を行っていくべきである。