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・PFIはメージャー保守党政権の方針(Initiative)として開始されたもので、92年11月に発表。包括的な法制定を行ったのではなく、各種公共事業を民間事業者が行えるように業法を改正する形で制度化していった。

・ほとんどの事業は、80年代からの民営化の延長で、アウトソースするために法整備をすすめている。

・PFI導入の前に、まず民営化を推進すべきであり、PFIは民営化に続く、第二の手段という位置づけ。

・現在のブレア労働党政権では、保守党政権時代のPFIを含めさらに広い枠組みとしたPPP(Public & Private Partnership)というコンセプトを打ち出している。これは、保守党政権の全てを民間に移転するという考え方ではなく、公共にも依然として優れている部分があり、これを残しつつ、公共・民間の長所がそれぞれ発揮できるようにプロジェクトを進めようというもの。

3]その他の面での日本との比較

・英国では、「小さな政府」「民営化」等の行財政改革の流れの中で、政府自らが強力なリーダーシップを発揮してPFIに取り組んでいるが、わが国の場合、財政面の期待が大きく、実務上、自治体が主体となると思われる。

・英国では、PFI導入を推進すべきプロジェクトの優先順位を政府が決めているが、わが国では、現時点ではPFIプロジェクトの優先順位決めについても明確でない。

・英国でPFIが導入された92年以降の英国経済は、年率2〜4%の成長を達成し、これが追い風となっていたが、わが国は現在、戦後最長の不況期にある。

 

(3) 従来公共事業との違い

1]PFIは、自治体と民間事業者が20〜30年間にわたる契約を結ぶことで、公共事業を実施する仕組みである。

2]PFIは柔軟な事業手法であり、ハード・ソフトにかかわらず、様々な公共事業への適応可能性がある。

3]資金調達を民間事業者が行い、従来の公共事業のように自治体が直接的には行わない。

4]公共事業の建設・維持管理・運営も含めて、もっとも効率的かつ有用的な事業スキーム(ライフルサイクル管理)を考えることが可能となる。

5]PFI事業によって形成される社会資本は、自治体の所有とならない手法もある。(民間が所有したままサービスのみを購入する形態も考えられる。)

6]事業者は単独の場合もあるが、複数の会社が出資してPFI事業会社を設立する場合が多くなると考えられる。(外郭団体も参画可能)

7]PFI事業は、途中で破綻することも想定して、解決手段を講じておく必要がある。

 

 

 

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