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26.3 当局によるIPRの侵害

 

26.3.1 当局が(契約の進行中であれ、その満了もしくは終了の後であれ)IPRを侵害した場合、当局は一般に、結果的にもたらされた費用を負担すべきである。当局は、所有者の費用、および事業者が負担した費用(例えば所有者により告訴された場合、もしくは別の当事者から異なるIPRの許諾を調達しなくてはならなくなった場合)を負担すべきである。

これにより、当局は通常、事業者に対して損失補償を申し出ることが必要になるだろう。

26.3.2 当局は事業者の使用に供するため、IPをプロジェクトに寄贈するかもしれない。当局が当該IPRを所有していない場合、当局は、これを事業者に移転する(例えば、第三者への副次的使用許諾という方法により)権利を付与されるよう確実を期さなくてはならない。当局が当該IPを事業者に移転したことにより、所有者のIPRを侵害した場合、当局は結果的にもたらされる費用の支払い責任を負うべきであるが、但し【26.3.3】が適用される場合はこのかぎりではない。

 

26.3.3 事業者が当局がプロジェクトに導入したIPRを使用する場合、事業者は、そうする権利を付与されるよう確実を期するべきである。事業者は、みずからによる侵害について補償責任を負うことになるが、但し(合理的に行為する)事業者がこのような事情を立証できる場合はこのかぎりではない。

 

26.4 満了/解約の際のIPRに対する権利

 

26.4.1 契約はまた、終了(中途解約、もしくは満了)に際してIPRがどうなるかについても取り扱う必要があるし、特に、ソフトウェアもしくはこれに類する資産が特定プロジェクトのために開発された場合はそうである。この一例を挙げるなら、情報技術プロジェクト、もしくはこれに類するプロジェクトがあり、この場合は終了時にプロジェクトが当局に移転された場合、プロジェクトはIPRなしには機能し得ないため、IPRもまた移転されるべきである。

 

26.4.2 一般に、当局は、特にプロジェクトのために開発されたIPR(特に著作物であるソフトウェア)をそのプロジェクトにおいてのみ(当局もしくはその代理のサービス提供者のいずれかが)使用するために、そのIPRの無償かつ恒久的な使用許諾の権利を付与されるべきである。当局はたいていの場合、その権利を拡大することにより、このようなIPRを他のプロジェクトにおいて使用しようとすべきではない。一定のプロジェクトでは、プロジェクトを不可能にするような特殊な問題が発生するかもしれない。

 

26.4.3 その他、第三者ソフトウェア使用許諾などプロジェクトにとって主要なIPRについては、事業者は、当局がこのような使用許諾の更改の権利を付与されるか、このようなソフトウェアの使用許諾を商業的料金で取得するための権利を有するか、そのいずれかであるように確実を期すべきである。事業者(もしくはその下請業者)が締結する使用許諾がこれらの必要条件を反映するように確実を期するのは、事業者である。事業者は、当局が必要なすべてのIPRの利益を得るよう確実を期することが不可能であれば、このような利用不能が原因で負担された費用を当局に補償しなくてはならない。例えば、事業者が所有権のあるソフトウェアの使用を選択した場合、事業者は、所有者がこのようなソフトウェアの、当局もしくは後任の事業者に対し、使用を許諾することに合意しなければ、そのリスクを負担しなくてはならない。

 

 

 

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