(c) 契約は、当局が解約通知を受領後[45]日めに終了する。但し、当局が終了通知を受領してから[30]日以内に当局のデフォルトを矯正した場合はこのかぎりではない。
20.1.3 当局のデフォルトによる解約時の補償
20.1.3.1 当局のデフォルトによる解約時補償の目的は、事業者とその資金提供者が完全に補償されることである7。すなわち契約が予定通り遂行された場合と比べて、当局のデフォルトにより経済的損失を被らないようにすることである。
20.1.3.2 事業者は入札時に好ましい出資リターンの算定方法を特定する必要がある。選択肢としては、当初ベースケースで設定されたリターン、契約終了時の時価、解約日以降についてのベースケースリターンのいずれかがある。
20.1.3.3 たいていのPFIプロジェクトにおいて、出資金は株式と劣後債権をミックスした形で提供される。当局のデフォルトの補償金額を算定する際、多くのプロジェクトは劣後債権と出資金の区別をしてきた。典型的な例では劣後債務は全額が(利子を付けて)返済されるが、出資金の補償はその市場価値もしくはベースケースの投資リターンを基本に算定される。メザニン借入(Mezzanine Debt)はこれまで特段問題とならなかったが、もし実際にメザニン借入が絡んだプロジェクトの場合であれば、当局はそれが優先債務に近いのか出資金に近いのか検討して8、適用される当局のデフォルトによる補償金額を決定する必要があるだろう。
20.1.3.4 殆どのPFIプロジェクトにおいて、大部分の出資金は劣後債務の形で投資されるため、事業者は市場価格に基づく補償により出資金リターンのアップサイドが保証される一方で、劣後債務の全額返済によりダウンサイドからは守られる効果を生んできた。これは不適当である。出資金と劣後債務には同じ補償金の算定方法(市場価格化かベースケースリターンか)が適用されるようにするのが非常に大事である。
20.1.3.5 同様の理由にて、ベースケースリターンと市場価値のいずれか高額の方を基礎とした算定(事業者はアップサイドは享受しながら、ダウンサイドからは守られる)、あるいはベースケースリターンと市場価格のいずれか低いほうを基礎とした算定(事業者はアップサイドのメリットを得られないうえにダウンサイドからは守られない)も不適当である。
20.1.3.6 入札者が出資金/劣後債務に対して以下のどのレベルの補償を求めるかを入札価格に含めるようにするべきである。
7 支払われる補償金額は、予想される賠償請求の現実的な算定結果を反映するべきであり、事業者がほかに賠償請求をする必要がないように十分なものである必要がある。【21.6 治癒の完全性】
8 メザニン借入れは通常、優先借入よりずっと高いリターンを求める。