(c) 当局による契約義務違反が[2]ヶ月以上3の連続する期間にわたり事業者の契約上の義務を履行することを重大に阻害4または不可能にする場合
20.1.2.2 上記に加えて、事業者が当局のデフォルトを理由に解約を認められる状況を、各プロジェクトごとに検討する必要がある。当局は、その契約上の義務の性質を精査し、当局のデフォルト事項のリストを拡大するときは、契約関係を継続できなくするか事業者のサービス提供能力を完全に阻害するような義務違反のみを対象とするべきである
20.1.2.3 事業者による解約は最後の手段とされるべきであり、“微々たる原因が契機となる”ことによって、当局がそのデフォルトを矯正する機会を持つ前に解約のリスクに瀕することがないよう確実を期することが重要である。当局のデフォルトと事業者のデフォルトを相殺するような事態は想定できない。なぜならば当局の義務は主にサービス料支払い義務と許認可権に関わるものであり、詳細なサービス業績また信用力に関わる義務ではないからである
20.1.2.4 事業者は、当局がサービス提供開始前またはその後に契約規定を遵守しない場合があっても(例えば、許認可)、大半は補償事由(【5 保証事由】参照)によってカバーされることに留意するべきである。さらに、当局による支払期日における支払い義務違反があった場合は、支払遅延損害金を発生させるようにして(【10.2.5】及び【29.8 支払遅延損害金】を参照のこと)、不払い対する妥当な支払猶予期間が契約に組み込まれるべきである。これらのいずれの場合も解約事由とされるべきではない。
適切な契約案文は、以下のとおりである
20.1.2 当局のデフォルトよる解約
(a) 当局のデフォルトが発生し、事業者が契約の終了を望む場合、事業者は当局に対し5、当局のデフォルトを知ってから[45]日以内に、解約通知6を送達しなくてはならない。
(b) 解約通知には、解約事由となった当局のデフォルトの種類を特定しなくてはならない。
3 本条(b)又は(c)の当局のデフォルトを引き起こす期間には、【20.1.2 当局のデフォルトによる解約】に述べられている矯正期間を更に加える場合もありうる。
4 もし完全かつ確実に、事業者のサービス提供能力を阻害または当事者間の契約関係を継続不能にする当局の契約期間中の違反事項を特定することが可能であれば、それも加えることが可能である。一つの例は、NHSトラストが関係するNHSプロジェクトについて、NHSトラストの法的な契約履行能力に重大な悪影響を及ぼす法律変更である。他の例としては、ある特定の法律の執行や法律変更が行われなかったために事業者が契約履行することが不可能になっていしまう場合などである。しかし、この条項は真に重大な当局の契約違反の場合にのみ解約が行えるように対象を絞ったほうがいいことに留意するべきである。
5 一定の事例では、第三者(たとえば、関係国務大臣)もまた通知を受け取る。
6 この条項にもとづいて行われる支払いは予期される損害賠償額の請求の実際的な算定を反映すべきであり、それゆえこのような支払いが事業者の受ける唯一の免責となり、損害賠償額の請求が残ることのないようにすべきである(【21.6 唯一無二の免責】を参照のこと)。