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事業者は、妥当な手段の全てを取り、かつ当局および継承人である事業者に対して徹底的に協力し、サービス提供の継続が最小限の中断のみで達成されるようにするとともに、当局の従業員および公衆の健康と安全に対するいかなる不都合もしくはリスクをも防止もしくは軽減するようにするものとする。

 

19.4 代替用途のある資産(残余価値リスクの移転)

 

19.4.1 サービス又は資産に代替用途そして更に代替ユーザーの可能性がある場合、事業者に対して残余価値リスクを移転する規定を契約書に盛り込む余地があるかもしれない。もし実際上意味のある形でリスク移転を行おうとする場合は、それを競争入札の条件の一つに含めることが極めて大事である。

 

19.4.2 もしこのようなリスク移転がバリューフォーマネーを増やすために意味がある場合、当局はサービス料の金額を、事業者が投資資金を契約期間中に受け取るサービス料だけでは回収できない水準とすることができる。その場合、事業者は契約期間満了日の資産の残余価値に残りの投資資金の回収を依存することになる。この場合、事業者はある程度契約終了時の残余資産価値リスクにさらされることになるが、当局は契約期間を大幅に短くすることが可能となる(【2. 契約の存続期間】を参照)サービス料水準

 

19.4.3 しかし実際には、代替用途の可能性がある場合でも残余資産価値リスクを全て事業者に負わせることは不可能であろう。長期の契約期間終了後の残余資産価値を予測することは困難であることから、事業者は残余価値が殆ど無いものとしてコスト計算せざるを得なくなるであろう。また、資金提供者も大きな残余資産価値リスクにさらされることを受け入れない可能性が高い。このような場合一般的には、結局事業者は契約期間中に必要な投資リターンを得ようとするため、当局にとっても残余価値リスク移転のバリューフォーマネーが出ないことになる。

 

19.4.4 事業者が残余価値リスクを取る場合、当局が期間満了日に取ることのできる資産関連のオプションは下記の通りである。

・ 資産を取得する。この場合、事業者に対価を支払うべきである(【19.5 終了時支払いの算定】を参照のこと)。

・ サービス提供の再入札を行う。この場合、再入札の落札者は前事業者に対して残余価値に見合った対価を支払って資産を取得するべきである(【19.5 終了時支払いの算定】を参照のこと)。

・ もし当局がそれ以上資産を使用しない場合は、当局の関与はそこまでとして、残余価値の実現は事業者にゆだねる。

 

19.4.5 どのオプションも当局にとっては経済的価値がある選択である。なぜなら、残余資産リスクを当局が取る場合に比べて、(きちんとした競争原理を働かせることが前提だが)契約期間中の支払い総額の現在価値は小さくなるはずだからである。

 

 

 

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