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19.2.6 【19.2.5】で概説したやり方は当局にとって価値があるものであるが、それにより残余価値リスクを事業者に移転できると考えるべきではない。なぜなら、たとえ契約期間終了後も土地を利用できる権利を持っていたとしても、事業者は依然最初の契約期間中に必要な投資リターンを得ようとするのが一般的だからである。実際には、当局が期間満了後に資産を利用できなくなるという意味で、むしろ非生産的であるかもしれない。このようなストラクチャーを取ろうとする場合、当局は運営上の必要性又はバリューフォーマネーの観点からそれを行うべきであり、間違っても残余価値について何かメリットを得ようとして行うべきではない。

 

19.2.7 適切な契約案文は、以下のとおりである。

代替用途のない資産

(a) 期間満了の[12]5ヶ月前もしくはそれ以前に、当局は事業者に対し書面により当局が以下のいずれかするつもりであるかを通知するものとする。

(i) サービス提供について再入札を行う、もしくは

(ii) 事業者が、資産に対する諸権利・所有権及び権益のすべてを当局に移転する6

(b) 当局がサービス提供の再入札をしようとする場合、

(i) 再入札は、継承事業者が契約満了日及びそれ以降新たにサービス提供を行うための契約を当局と締結するために行なわれる。

(ii) 現事業者は、契約満了日をもって資産に対する全ての諸権利・所有権及び権益を継承事業者が取得できるようにするために必要となる(契約の締結を始め)全ての手段をとること。

 

5 (a)(ii)のように当局が資産の譲渡を求める場合には、事前通知期間は【22 解約時検査】の規定に沿って、事業者が十分な修繕積立金を蓄積するに足る十分な時間的余裕を持つように決定されるべきである。

6 正確な表現は個別の状況によって異なる。例えば、当局が既に対象資産の一部もしくは全部を所有している場合、当局は残りの所有権を移転する、または所有権をそのまま持ち続けるという場合もありうる。

 

 

 

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