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15. 下請業者と被用者

 

15.1 下請業者の監督権

 

15.1.1 当局はしばしば、下請業者に対して主観的性質の管理をかなりの程度保持すべきだという理解を持っている。こうした理解にもとづく管理の必要性は、下請業者の履行にも、後任の下請業者を指名する手続にも適用される、事業者もこうした意見であることが多いが、それは随意に下請業者を交代させる権利を付与されている(例えば、下請業者が履行を行ってない場合)場合、みずからが最初にこれらの下請業者を選定し、その履行に関わるリスクを負ってきたためである。

 

15.1.2 一般に、当局の、下請業者を管理しようという試みは阻止されことになるが、それはたいていの場合、無用だからであるし、達成可能なリスク移転の度合いを低下させるかもしれないからである(【9.9 下請業者の監視】を参照のこと)。当局は、(管理が必要な場合は)いかなる場合も、下請業者の下請業者の管理ではなく、下請業者についてのみ、ある程度管理に努めるべきである。

 

15.1.3 特定の限られた事例では、当局がある程度下請業者を管理すべきだという理由が優先する。例えば、国家の安全に関わる問題(特に、いくつかの防衛プロジェクトにでは)、公共の利益に関わる問題(例えば、だれが学校に関わることを許されるべきか)があるかもしれないし、当局が実行する必要のある正当な利益に対する義務を負っていることもあるかもしれない。

 

15.1.4 このような事例においては、事業者の交代が満たさなくてはならない基準は妥当であるべきである(例えば、下請業者になる可能性のある業者は国家の安全もしくはその他公共の利益の、これに相当する性状に対する脅威であってはならない)。下請業者になる可能性のある業者が基準を満たさないという判断は、客観的な具体情報にもとづくものであるべきである。例えば、ある下請業者の雇用が国家の安全もしくは公共の利益に対する脅威の一例となるだろうという判断は、法律、財務もしくはその他の適切な権威から受領した具体的な情報で、国民の利益が有害な影響を受けるであろうことを示す情報にもとづいて下されるべきである。大半の事例では、この性質の基準は必要ない。

 

15.1.5 下請業者を管理する特別の理由がない事例でも、当局は依然として、事業者に契約を与えるに際し、最初の下請業者の身元および履行の能力を信頼することを前提になにがしかの監督権を欲するかもしれない。このような事例では、客観的基準の限られた組み合わせを満足することが、当局にとっても事業者にとっても、許容可能な程度の管理であることを立証すべきである。このような基準には、以下の双方が含まれるべきである。

・ 技術的な能力および適格性

・ 財務上の体力(事業者に補償を与える準備があること、など)

 

 

 

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