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・ 競争が希薄な場合(入札の資金調達費用が人工的に膨らまされているかもしれないため)

・ 延長された期間中は先取権のある入札者がいた(うえに、結果的に一括請求の水準点が効果的に決定され、持分権の収益率がプロジェクト価値より高い率となっていた)場合

・ 市場の新奇であれば再融資率が高いか、高いままにとどまるが、市場が熟知されるにつれて低下する場合。

最初に挙げた2点は、PFI測定法としては例外である公算が高い、コンマ3より高い場合、事業者はしばしば、契約において最初に予期される報酬を上回る報酬は新市場に参入するというリスクを負った自社に対する報酬だとして、(かならずしも不合理とはいえない)異議を唱える。このような事情において、再資金調達から終了時の当局の支払い責任の増額がもたらされる場合、これに関係する問題があるかもしれない【21.3 再資金調達の後の補償の支払い】。

 

14.6.4. こうした例外的な状況が、当局の、入札者のそれぞれの資金再調達の概観の一部として適用される場合、当局の財務アドバイザーは当局に助言すべきである。財務アドバイザーが、その後の資金再調達がほぼ確実に大幅な利益の増大をもたらすという意見の場合、当局はより安価な資金調達の利益のいくばくかを共有することにつき、事業者と交渉したいと望むかもしれない。これはITNにおいて定められなくてはならず、かかる共有がおこなわれる状況およびその方法が定められなくてはならない。当局が契約において資金再調達の利益を増税によって回収する権利、もしくは融資の合意を修正もしくは変更する契約の能力に干渉する権利をみずからに与えていない場合、かかる共有を試みるべきではない。

 

14.6.5 再資金調達の利益を共有する規定の導入における甚大な困難は、“再資金調達”をいかに定義するかである。利子率の変化、返済日、最低収益点、およびシニア・レンダーの水準はしばしば重要な構成要素となる。しかしながら、こうした要素のすべてに変更がなくても、再資金調達が行われることは可能である。市場の実務は、信用に関わる合意が、正式な修正の必要も、明らかな“再資金調達”の発生もなしに、かかる変更が可能であるように起草されるものである(とはいえ、シニア・レンダーが、なんらかの形式の補充的合意なしに再融資して融資を増額することは希である)。

 

14.6.6 確立された市場と激しい競争が結びついて、融資の最も効率のよい提供が確実化される場合、当局が上昇傾向の再融資を共に享受することから引き出す、VFMは限られたものとなる公算が大きい。この理由は多々ある、

・ 持分権による参加者は、みずからが再融資後に本件の基礎的収益を得られるように、彼らのその持分権による当初収益(したがって、当局に対する入札価格)を増大させる必要がある。この結果、最良の場合、プロジェクトの初期の数年間に必要な費用を上回る。最悪の場合は(再融資が実現されなければ)、当局はプロジェクトの全期間を通じて、より多額の支払いをすることになる。

 

 

 

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