5.3.3.4 免責事由が発生し、当局がそれを知らされた時、当事者は、事由が持続する見込みや影響を緩和するために採るべき措置など、関連する諸問題につき討議するために話し合うべきである。
5.3.3.5 一般的に、当局は免責事由の期間中、その持つ介入する権利(【28. 当局の介入】を参照こと)を行使すべきではない。事業者が問題を矯正するために合理的な努力をしない場合、事業者は免責事由によって得られる免責を得られず、違反を理由とする終了のリスクを負う。これは、事業者が任務を実行させるに十分な刺激をもたらす(採られたアプローチとそれにともなう契約にもとづくその他の義務からの免責により、いくぶんかは異なる)。
5.3.4 免責事由と保険
5.3.4.1 事業者は免責事由に対して、前払いの利潤損失・業務中断保険(【24. 保険】を参照のこと)をかけて、融資者をはじめ、事由が持続している間および(もしくは)再建の期間中プロジェクトの収入に依存する人々に対する収入の代わりとなるものを提供しようとするかもしれない。かかる保険は、ある日数を超過することが条件である場合が多いので、かかる事由の発生は依然、事業者にとって相当の失費となるかもしれない。かかる保険は免責事由の種類によっては利用できないかもしれず、引き合うのは一般にプロジェクトに身体的損害があった場合のみである。
5.3.4.2 免責事由および不可抗力のリスクの割り当てという問題は、保険が利用可能か否かという問題とは切り離して取り扱われるべきである。リスクの割り当ての主たる要因は、リスクとその結果を管理するのに最良の立場にある者はだれかということであり、免責事由の場合、これは事業者である。事業者がかかるリスクに保険をかけるか否かは事業者の問題である。というのは、(保険が必要とされない場合は、そのかぎりにおいて)満足すべき方法でリスク管理を行うのは、本質的に事業者が判断すべきことだからである。
したがって、当局は、保険を掛けられない事由は必然的に不可抗力の定義、もしくはその相当物に該当するという議論を受け入れるべきではない。これは不可抗力(【24. 保険】および【20.3 不可抗力による解約】を参照のこと)のはなはだしい拡大解釈である。【20.3.2.2】に一覧が掲載されている事由の発生はかならずしも事業者が処理するに最良の立場にあるわけではなく、当局と共同でことに当たるべきであるため、このガイダンスでは不可抗力には明確に異なる処置を与えている。
免責事由を取り扱った草稿の例は、以下のとおりである。
5.3 (免責事由を原因とする遅延)
(a) 免責事由が以下のいずれかであるか、その双方である場合は、そのかぎりにおいて
(i) サービス提供開始予定日の遅延の直接的原因である場合、
(ii) 事業者の、この契約にもとづく、その義務を履行する能力に悪影響がある場合