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3. サービス提供の開始

 

3.1 はじめに

 

3.1.1 契約が締結され発効した後は、通常は建設又は開発という段階があり、この段階において事業者はその建設又は開発の義務を実行し、サービス提供の必要条件を満たすと事業者が信じる作業手順を採る。

 

3.1.2 この期間、当局は当然ながら、事業者が適時に、当局が契約で要求する条件に合致する方法でサービス提供が行われるかどうか知りたがるだろう。事業者は、当局によって不必要に妨害されることは望まないものの、開発されつつあるものが当局の必要条件を満たしているということを再確認することを希望するであろう。

 

3.1.3 ここでもっとも重要な問題は、この段階で当局がどの程度関与すべきか、それに当局がサービスの提供開始前に事業者による作業の進捗状況を承認もしくは監視するために(権利を持つとすれば)、いかなる権利を持つべきかということである。

 

3.1.4 当局がどの程度関与するかについては、明確な制限がなくてはならない。当局が適正な範囲を超えて関与すれば、当局は事業者への支払いを承認し、かつ事業者を管理する役割を引き受けるという二つのリスクの双方を元通りみずからが負う結果となる可能性があるからだ。当局が建設という独立したサービス提供を調達する場合は別だが、当局が監督といった類の役割を担うのは適正ではない。

 

3.2 当局の役割−総論

 

3.2.1 プロジェクトのアウトプット仕様の必要条件を満たすために調達されるか、もしくは開発された資産の設計、建設、統合、テスト、権限委譲、操業、メンテナンスおよび最終性能はもっぱら事業者の責任であり、このリスクについては、当局は(異例の事態をのぞき)いかなる責任も負うべきではない。これに伴い、事業者は、当局から干渉されることなく、その活動を管理する自由を提供されるべきである。事業者が実行する設計および開発、ならびに事業者が採用する作業手順が、当局の課す、サービス提供の必要条件を満たすか否かは、事業者が負うべきリスクである。当局は、例外的な事態(たとえば、当局が介入権を行使する(28. 当局の介入)をのぞき、サービス提供の前後を問わず、事業者のリスクのいかなる部分であれ、これに関与し、これを元通りみずからが負うような役割に同意すべきでない。こうした意味でこの問題を取り上げている3.2.2は重要である。

 

3.2.2 当局の、契約締結前の役割は、以下を含む。

・ プロジェクト成果の必要条件、およびそうした必要条件が達成される際に課される制約を詳細に示すこと

 

 

 

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