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で、それを、その時その時の事を考えれば、安い方がいいって、安い方へ手を伸ばすじゃないですか。でも本当に物を考えて、捨てるところまでコストを考えれば、もしかしたら、ジャガイモのデンプンで焼いたトレイの方が安いかもしれないんですよ。で、例えば、北海道で、僕らはまだそこまでの技術は持っていないけれども、これ、簡単にできるんです。で、ジャガイモのデンプンで焼いたトレイで、食っちゃったら何にも残らなくていいじゃないですか。ゴミが無いんだもん。どっかのオリンピックで、リンゴで焼いたっていうのがあったですね。リンゴのジュースの絞りかすか、なんか忘れてしまったけれども。ジャガイモのデンプンのトレイっていうのは完壁に食えますから。で、そういうことをですねえ、やっぱりこれから、どんどんコストを考えていかなくっちゃいけない時代だと思うんですよ。その時その時のコストしか考えなければ、買う人は、買う人のコストしか考えなければ、絶対、発泡スチロールの方が安いんだけれども、繰り返しますが、全体で、社会にとってどちらがコストが安いかっていえば、僕はジャガイモのほうが安いと思います。それでまた農民が助かるわけですよ。ジャガイモ作りがね。そういうことができないなかなあ、というふうに考えているんですね。

まあ、僕は、物書きですから、僕の田んぼっていうのは原稿用紙の上だけれども、その上で、そういう社会を思っているわけですよ。

それからもっと言えば、畜産農家が糞尿公害とかいろいろ言われて、牛乳を作りにくくなっている。牧場をね。今、日本の農産物で一番多いのが、米です。その次に多いのが牛乳です。毎日ですから、牛乳は。例えば農村の中心に牧場があって、その牛の出すウンチをね、糞を堆肥にして、そしてその堆肥を使って有機農業をやってっていう、循環型の社会を作れば絶対、牧場が必要なんですから、農村の中で中心的に牧場がおけるといいなあとか、アイデアはたくさんあるんですよ。だけど、それが全てがコストの問題になってきて、経済優先の社会では実現不可能なことばかりになってしまう。だから、僕は小さなコミニュティーのなかで、高いトレイ、もしかしたら、芋より、上に乗っている野菜よりトレイのほうが高いかもしれない、でもそういう物を耐えていく消費者っていうかなあ、自分達、消費者も生産者も同じ船に乗ってるんだから、まあ、そういうふうにこう痛みを分かち合う−痛みっつうのかな、なんていうのか−それを社会全体でやるのは、僕は無理じゃないかと思ってるんでね。それは、まあ自分達の仲間って言っても、何万人もいるんですけども、そういうことを夢のように考えて、アイデアばっかりはいっぱいあるんですけどね。でもひとつずつ僕はやっていきたい。そしてほんとにまだ、ゴミのように小さな農園ですけど、全然経済性合わない農園ですけど、心の在り場所みたいなものをね、そういうところに確保したいと考えて、まあ、小さな活動をしているということです。

 

藤岡−どうもありがとうございました。どうもコーディネーターが勝手気ままな話題をみなさんに提供いたしまして、まことに失礼いたしました。今日はこの辺で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

 

 

 

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