ISO14001にはどんな事が書かれているのでしょうか。
企業や組織がどの様な基準を守りながら操業等の活動をしていかなければならないかは多くの場合法律等できめられていますし、そうでなければ周囲の住民との話し合い等を基にし、あるいはどこまでやっておけば組織の自衛が出来るか、等を考慮しながら組織自ら決めていかなければなりません。ISOl4001にはこの様な基準は書かれていません。自ら行っていることが環境に対してどんな影響を与えているかの解析から始まり、問題があるならそれを解決していく、良い点があるならそれを更に伸ばしていく具体的方法を計画し、目標(自ら決めた基準)を達成していくための方法論を記述しています。環境に関する目標管理であって、更には、組織の浮沈をかけた方針管理で経営活動の一環というところまで高められています。経済活動を含めて組織が伸びていくためには、環境への対処は現状維持では不可能、必ず継続的改善がなければならないということが底流にあります。
昭和40年代の公害の時代を経験し、厳しい規制に対処するためにも一般企業ではこれまでも環境管理を行い、完全とは言い切れないまでも環境マネジメントも行ってきています。
企業が構築するこのような環境マネジメントの「仕組み」、即ち、システムは一様ではなく、バラエティーに富んでいます。ISO14001の前文にも書かれているように、業種により、地域により、社会的条件により、企業文化により異なるのは当然でしょう。審査においては、このような多種多様な環境マネジメントシステムの良い/悪い、あるいはその程度が審査、決定されるわけではありません。ISO14001に最小限必要なこととして記述されている要求事項を満たしているかどうかが客観的に審査されます。ISO14001の要求事項を満たしながらシステムの継続的改善を進めていくことによって、中長期的には環境そのものの改善がはかられていくからです。
ところで、「システム」とは何でしょうか。品質管理で有名なデミング博士はその最後の図書(デミング博士の『新経営システム論』の第3章 システム入門p60、1996年3月、NTT出版)においてシステムの重要性に言及し、「システム」とは、
ある目的を達成しようとして、
協力し、相互に依存し合う、
複数の独立した構成要素の、
結合組織(ネットワーク)である、
といっています。
この目的を「社会への貢献と利益をあげること」、構成要素を「部課、事業部等」と、ネットワークを「チームワーク」と置き換えてみれば、日本の企業像が浮かび上がってきますし、「構成要素」をISO14001の要求事項と、目的を環境方針の実現、環境の継続的改善、と置き換えたものが環境マネジメントシステムになります。構成要素は、これが在るということだけでなく、互いに協力しあい、助け合わなければなりません。繋がりとなり、連動しながら、大きなPDCA(Plan、Do、Check、Action)のデミングサイクルをダイナミックに動かしていかなければなりません。
詳細はISO14001規格を参照していただきたいと思いますが、概要は図3のようになります。
・経営トップが環境配慮に対する明確な意思表明を行うこと。