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(3) 魅力ある交流空間

ライフスタイルの多様化に伴い、「物の豊かさ」がある程度充足された今日、生きがいやゆとり創出など「心の豊かさ」を志向する動きが高まってきている。

観光においても、従来のただ「みる」だけの観光から、地域の自然や地域の人々の温かい心に触れ、体験し、交流・連携を行う観光へと転換しつつある。

第2章で検証したとおり中球磨地域を訪れる観光客・ビジネス客数で交流と連携の状況をみると、人口の約10倍程度の人達が当地域を訪れているが、県全体、そして球磨郡全体ではいずれも人口の25倍以上の人達が地域を訪れており、交流人口の面からみると、当地域では未だ他地域との「交流と連携」が高まっているとは言えないようである。

当地域には、現在まで一つの取り組みだけで他地域から何万人もの人達が訪問するような資源はなかった。しかしながら、観光の形態が変わり、地域の人やモノと触れる交流を人々が求めるようになった現在では、「交流と連携による地域づくり」を目指し、産業や環境を含めた地域にある全ての自然資源・社会的なストックを活用し、交流人口を増やす工夫が必要になる。

地域の良さを積極的に外へ向かって発信し、交流人口が広がるためには、まず地域に住んでいる人が地域の良さを認識することが不可欠である。こうして「地域の誇り」を前面に出してゆき、都会と農村(中球磨)がお互いに活性化しあうような交流のあり方が今後重要となってくる。

また、交流の拡大においては、観光によるものだけでなく、通勤や通学といった日常の行動による交流もまた重要な位置を占めている。企業、大学などの誘致による交流人口の拡大も1つの方法として検討すべきであろう。

 

ア 課題

○観光資源の活用・イベントの開催などによる交流・連携

○農林産物の直販による交流・連携

○インターネットなどの通信による交流・連携

○ワーキングホリデーやグリーンツーリズムなど、農村・農林業を活かした交流・連携

○森林を活用した自然体験など

○地域の良さを再認識するための仕掛けづくり

○U・J・Iターンのための情報提供、支援策

○高齢者の知恵を活かした農林業体験

 

イ 活用しうる地域資源

○球磨川、周囲の山々

○谷水薬師、上村城趾など史跡

○J.F.エンブリーの業績

○宮原観音他相良三十三観音巡り

 

 

 

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