6 観光、交流
(1) 自然的観光資源
中球磨地域は、山や川といった自然に恵まれた地域である。山としては、白髪岳を始めとして黒原山、高山などが挙げられ、それぞれ人吉盆地を一望にできる展望と希少植物や山菜、筍などの山の恵みを有する。また、球磨川は、親水公園化が進んでおり、キャンプ場を始め自然に親しむ場所としての発展が見込まれる。このように周囲を山で囲まれた、平野部にも里山が点在する中に球磨川が流れる田園風景は日本的な景観をなしており、都会の人のやすらげる場所となることが可能である。
特に上村では白髪岳周辺を"白髪岳クマソ自然公園"と位置づけ、豊かな自然環境を活かした地域づくりを進めており、合併後もこうした貴重な観光資源を整備して他の観光資源とネットワーク化し、積極的にPRすることにより、新たなる交流人口の拡大が期待できる。
その際、環境に優しい自然豊かな中球磨をトータルイメージとして、希少動植物など貴重な自然環境を破壊することなく、調和のとれた活用を図るべきである。
(2) 歴史的観光資源
人吉盆地は、古くから文化が発達してきた地域であり、文化遺産が数多く残されており、その数は県内でも傑出している。
古くは、平安時代建立の釈迦堂(須恵村)や日本7大薬師の一つで年間2万人以上来訪する谷水薬師、武家屋敷跡や上村城跡(以上上村)など鎌倉、室町時代からの上村氏や宮原氏、相良一族にゆかりのある史跡も数多く存在する。
また、近年、郡内の人々に見直され沢山の人が訪れるようになった相良三十三観音めぐりの内、中球磨には二十九番札所の宮原観音(岡原村)を始め7つの観音が点在している。
また、須恵村は、社会人類学者J.F.エンブリーが昭和10年より約1年間滞在し、日本の村落社会の代表として研究し、世界に紹介した地域であり、学術的な意義も高い。このように彼が紹介した日本の農村の民俗を後世に伝える場としての活用を検討してみるのも一つの方法であろう。その際、他地域の事例、例えば遠野市による、柳田国男が紹介した民話、伝承の観光資源としての活用といった方法が参考になると思われる。
これらの歴史的建造物や資料をネットワーク化し、観光資源として活用していくことが今後望まれる。
(3) その他の観光資源
その他として上村のビハ公園オートキャンプ場は、周辺の自然や史跡とネットワーク化しての活用が望まれる。また、深田村の高山一帯は、ゴルフ場、高山運動公園などスポーツを楽しむ施設が集積されている。
また、上村ヘルシーランド、深田村高齢者コミュニティセンター高山荘、須恵村コミュニティセンターなどの温泉入浴施設が3箇所あり、温泉を通じた健康志向の観光拠点づくり、また、地域住民の交流拠点施設としての活用が新町の重要な資源になると思われる。