(4) 快適な生活環境づくり
「快適な生活環境づくり」のためには、上下水道の整備など生活インフラなどの整備が必要である。だが、生活環境は、ハード面のインフラだけで成り立っているわけではない。「快適な生活環境」とは、豊かな感性を培い、環境を理解し環境を守り育てる行動力を持った人によって営まれる、生活の質の豊かさを表す言葉である。いくらハード面でのインフラ整備を行っても、経済一辺倒の豊かさの追求では、豊かさを実感できる快適な生活は得られない。
そこで、目標に至る第4の柱である「快適な生活環境づくり」では、地域に住む人々の人権が守られ、ボランティアなどの社会参加が積極的に行われ、隣近所相互に声を掛け合い助け合うような暖かい人間関係を持ったコミュニティの維持など、ソフト面の環境整備、また、山や川、大気などの自然環境の維持保全、そして地球環境問題への取り組みまでをも視野に入れることが必要である。シンク・グローバリー・アクト・ローカリー(地球規模で考え地域社会から行動しよう)という精神で身近な取り組みから始めてこそ、快適な「豊かなまち」が実現できるのである。
(5) 生涯学習社会の形成
第5の柱である「生涯学習社会の形成」は、常に停滞することなく新しいものを取り入れて、変化していこうとする「若いまち」のその若さ・活力の維持・発展にとって不可欠な柱である。学校において、子どもたちは生涯学習の基礎を培い、家庭で生活習慣や社会性を身につけるとともに、地域のなかでの生活体験や自然体験をとおして、生きる力を育んでいく。また、住民一人ひとりが生きがいのある充実した人生を送るため、学ぶ楽しさや喜びを見い出しながら、生涯をとおして学習できるような社会の仕組みづくりが重要である。
さらに、進取の精神を持って常に積極的に新しいことを学んでいこうという生涯学習社会の追求は、新町においては、まちの将来に対しても住民自らが考え、まちづくりに参加するという、開かれた住民参加型の社会の形成にもつながる。住民と行政の協働という理念で、住民参加を促進する仕組みづくりが導き出されるのである。
(6) 豊かな交流社会
中球磨地域は、周囲を山で囲まれ、球磨川を軸としたまとまりのある田園地帯であり、その個性的な景観とともに、すばらしい自然環境と、歴史的遺産などに恵まれており、これら地域資源を活かし、多くの人が訪れる魅力ある地域づくりを目指す必要がある。
心の「豊かなまち」であれば、訪れる人の心もまた、癒され、豊かになるはずだとの趣旨のことは、既に前節でも述べた。6つ目の柱である「豊かな交流社会」とは、外から来た人に対する閉鎖的な意識を捨てて若い新鮮な気持ちで、豊かな心と心のふれあいを、日常的に行っていける地域社会づくりを目指すことである。
また、単なる外来からの客との一時的な交流ばかりでなく、若く新しい発想のもと、安心・安全・健康な農産物の生産地としての消費地との交流、自然に恵まれた球磨川の上中流域の住民としての下流域住民との交流、共通の趣味でつながった都市住民との交流など、多様なチャンネルを常に持ち続け、この地域の存在を、常に外に向かって発信し、“中球磨ファン”を作っていくことも必要である。