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(ア) 検討事例の研究

 

a 各事例の規模算定方法の特徴

図表1-30において、兵庫県・伏木富山港・広島県のそれぞれにおける防災施設規模の想定方法、考慮する要素、利用する被害想定等を示す。

いずれのケースにおいても、地震被害想定の結果(もしくは過去の実績)をもとに規模を算定し、利用できる用地(既設の公共施設や県有地など)の条件も考慮した上で、最終的な規模の決定を行っている。しかし、物資需要・備蓄量の算定方法とその配分、そしてそれに基づいた確保スペースの算定方法などは、各事例によって様々であり、統一した手法が存在しているとは言い難い。

各事例における規模算定方法には、それぞれ以下のような特徴が存在するが、いずれも機能・規模ともに限定的であり、必ずしも不測の事態の発生に備えた余裕ある計画がなされているとはいえない。

 

●兵庫県

・被害想定結果よりも、阪神・淡路大震災における実動実績を根拠としており、そのときに必要となった応援要員・調達物資等と人口との比率から、各ブロック拠点の背後圏人口分の要員・物資数を算定している。

・罹災者(避難所に来た人)を対象としている。

・物資供給対象者は罹災者の1/3(現物備蓄1/9+流通による調達2/9)であり、各拠点ごとの配分は人口按分とする。また、残りの2/3の必要物資量については、各市町およびその住民の責任となっている。

・計算上、防災拠点としての機能ごとのスペースは、ほぼ網羅的に確保されている。

 

●伏木富山港

・被害想定結果をベースとする。

・物資供給対象者は罹災者全員としている。

・周辺を険しい山岳地帯に囲まれる地形特性から、陸路が完全に寸断された場合を想定した検討がなされている。

・復興時の瓦礫処理需要についても考慮している。

 

●広島県(平成10年度の手法のベースとなっている)

・被害想定結果をベースとする。

・罹災者の30%を対象としている。

・物資需要の算定については、別途検討されている県の備蓄容量を想定罹災者の30%で割った値を、1人あたりの必要物資量原単位としている。(必要となる物資の側から積み上げ方式で求めた値ではなく、原単位の求め方が必ずしも明確とはいえない。)

・1拠点あたりの物資容量等はすべて同量とし、必要な拠点数を検討している。

 

 

 

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