椿温泉の活性化には温泉地として個性化を図ることが不可欠である。例えば“健康”や“美容”、“癒し”、“安価”などへの志向は、湯治場が満たす機能と共通するものがあり、利便性や清潔感など現代に即した形で若年・中高年にも受け入れられる新たな湯治場として再生させるなどの取り組みが必要である。
6] 町・内外交通の整備促進
日帰り客・宿泊客両アンケートを通じて、最も不満、不便の度合いが高かったのが町・内外の交通利便である。
日帰り客の8割、宿泊客の6割強が本町への交通手段として自家用車を利用しているが、道路標識の不備を指摘する意見もあり、サインシステムはじめ車対応の情報提供の充実が必要である。
また、宿泊客の3割はJR利用客であり、白浜駅や椿駅における公共交通機関や送迎機能の確保・充実や、交通費に割安感を感じるツアー企画やフリー切符の発行などを広域、官民連携のもとで利便性を向上させる取り組みが必要である。
7] 周辺観光地、紀伊半島レベルの観光ルートの利用促進
今回のアンケートでは、白浜来訪客の周辺観光地や紀伊半島レベルでの動き(観光ルートの実態)も追ってみたが、若干、那智勝浦町への前・後泊がみられたほかは日帰り・宿泊客両者とも本町以外の立ち寄りはほとんどみられないのが実態である。このことは観光地としての本町の人気の高さを語るものであるが、見方を変えれば、本町周辺の観光流動客を取り込めていないことにもなる。つまり、周辺観光地や紀伊半島レベルでの観光ルートがうまく利用されていないことになる。
観光ルートの利用促進には交通条件が大きく影響するが、それ以外にも宿泊施設や観光レクリエーション施設の利用割引システム、イベント、キャンペーンによる連携、共同のツアー企画など、取り組むべき方策はある。
紀伊半島西海岸の宿泊拠点である優位性を活かし、“紀伊半島全体が庭”くらいの感覚で半島全体の利用促進を考えていく必要がある。