3 観光関連産業の取引連関構造の特徴
地元観光関連事業者に対して取引連関の実態を把握するためのアンケート調査を実施し、宿泊業(18社)、飲食業(14社)、土産品販売業(12社)、観光関連施設業(2社)、合計46事業所からの回答を得た。
なお、運輸業に関しては回答サンプルがなく、観光関連施設業については、回答数が2社のみであり、しかもその内の1杜は多くの質問に回答していないため、回答企業のデータ秘匿のために以下の分析には含めないこととする。
なお、ここでは以下のような前提のもとで取引データの分析を行っている。
・合計と仕入先などの内訳の揃ったもののみを扱うこととし、合計と内訳が合わない場合は、合計で調整する(内訳のないものは合計を削除する)。
・回答企業の規模を勘案して、加重平均ベースの分析を行い、合計の表示のない仕入先の内訳数値は無視する(実数値の記入が全くなく、仕入先の構成比の記を回答したサンプルは除外する。また、部分的に仕入先構成比を回答したものは、当該回答項目を除外して取り扱う)。
・回答サンプルについては、分析項目毎の回答状況が大きく異なることから(回答できるところだけを回答したという形のものが少なくない)、各分析項目で完結して回答があれば有効なものとして活用する。したがって、分析項目毎にサンプルとなる企業数が異なるため、複数企業の全体像を示すものとはなっていない。そのため、全体としての支出先と品目を積み上げたレベルの支出先の構成比は一致しない可能性が高いものと考えられる。
(1) 収入構造
事業者毎の収入構造についてみたものが図表2-6である。これによると、宿泊業の収入の84.6%は宿泊費となっている。土産物や食堂・喫茶などの収入は比率的には小さい。しかし、金額的には大きいものとなっており、これらの収入(観光客からみれば支出に当たる)が、宿泊施設外で行われることは、地域の活性化という面で商業、飲食業に与える影響が大きいと予想される。5・6章で後述するように、観光地としての町の魅力の打ち出しという点での課題になると考えられる。また、飲食業及び土産品販売業については、そのほとんどが飲食や商品の売り上げによる収入である。