(2) 白浜町における観光産業の重要性
本町における観光関連産業の重要性をみるための一つの指標として、居住人口1人あたりの年間小売販売額をみると、観光産業を核に広域からの集客力もあって96万円に達している。これは、全国平均や和歌山県平均、圏域の中心都市である田辺市の水準を下回っているものの、有田郡(同郡の湯浅町、吉備町がそれぞれ130万9千円、159万4千円と高い水準を示している)を除く各郡の平均を大幅に上回っている(図表2-3参照)。
各郡の1人あたり小売年間販売額が少ない理由は、地域購買力が圏域の中心都市である田辺市や大阪府、和歌山市へ流出しているためである。例えば、「和歌山県内圏域調査報告書」(和歌山県企画部、(財)和歌山社会経済研究所)を用いて、同町が含まれる田辺新広域圏の居住者の購買行動を「日用品」と「高級品・嗜好品・ブランド商品など」からみると以下のような特徴がみられる(図表2-4参照)。すなわち、日用品の購買地域をみると、居住市町村が59.8%と最も高く、田辺市がこれに次いで27.6%となっており、地元での購買比率が高くなっている。一方、高級品・嗜好品・ブランド商品などの購買地域については、田辺市が50.4%、居住市町村が16.5%、大阪府が15.7%の順となっており、地元外・県外への購買行動が高くなっている。
このような本町の観光産業の重要性を反映して、図表2-5に示すように、平成10年度本町の当初予算78.6億円のうち2.9億円(3.8%)が観光関連の予算にさかれている。そして、町税総額31.2億円のうち入湯税が2.1億円(6.7%)を占めている。