第2章 地域活性化と大学整備
1 中部圏の振興をめぐる環境の変化と人材育成の役割
(1) 国・県の振興計画と人材育成への期待
沖縄においては、近年の振興開発をめぐる環境変化を背景として、沖縄振興開発特別措置法の改正等の制度改変や沖縄県マルチメディアアイランド構想、沖縄振興策の実施、沖縄経済振興21世紀プランの策定を進めるなど、多くの振興策が打ち出されており、沖縄振興が大きな転換点を迎えている。
このような振興開発計画及び振興策の目指す基本方向は、自立的な経済の実現や沖縄の地理的、自然的、歴史的特性を活かしアジア・太平洋地域の発展に寄与する地域としての役割の発揮などである。
とくに、自立的な経済の背景の一つは、雇用機会の創出という点にある。沖縄は、全国平均の4.1%を大きく上回る7.7%の失業率であり、20歳〜24歳にいたっては15.9%と全国7.1%の倍の失業率であり、きわめて深刻な状況にある。したがって、前述した振興計画や振興事業は、産業振興と雇用機会の創出をもたらすものとして大きな期待がもたれている。
また、沖縄は地理的、自然的、歴史的特性を活かした「アジア・太平洋の交流拠点(パシフィック・クロスロード)として、貢献していくことが期待されており、経済・学術・文化の国際交流や貢献を担う人材も強く求められている。
(2) 産業振興、雇用開発に向けた人材育成の必要性
このような産業の振興は、それを担う人材が供給されなくては展開していかないことから、高度の専門性を有する人材が強く求められている。当然、中部圏においても産業振興による雇用創出につながる有為な人材へのニーズには高いものがある。中部圏においては、特別自由貿易地域、情報通信産業振興地域、港湾、試験研究機関(トロピカルテクノセンター、工業技術センター)、テレワークセンターなどが整備され、産業振興の基盤整備がかなり進むなか、産業を支える高度な専門性を持った人材の供給体制の充実・強化が望まれている。