本編:研究学園都市構想策定に向けての検討課題
第1章 中部圏の地域特性・資源(地域活性化の基礎的環境)
1 中部圏の概況
(1) 人口・雇用情勢
中部圏の人口は、1999年3月で45.2万人(住民基本台帳人口)で、県人口の34.4%を占め、人口の増加率は県平均よりも高く、安定して増加している。また、年少人口が高く、比較的若い人口構造にある。
就業者総数は15.7万人で、完全失業者数は2.9万人で完全失業率は12.0%(1995年、国勢調査)と、県平均(10.3%)よりも2ポイント高く、雇用機会の確保が本圏域の大きな課題である。就業構造は、第1次産業4.01%、第2次産業21.9%、第3次産業74.1%となり、基地依存度の高い経済特性を背景に、第3次産業に偏重した状況となっている。
(2) 産業
中部圏においては、近年都市化が急速に進み、基本的には小売商業、サービス業などの第3次産業を中心とする都市型の産業構造となっている。産業純生産は、6,928億円(1995年度)で、沖縄県の26.3%を占めており、産業別の内訳は第1次産業が87.7億円(17.4%)、第2次産業が2,048億円(36.1%)、第3次産業が7,560億円(36.2%)である。
近年は、中城湾港の開発が進められた結果、本県の物流・加工産業、情報サービス産業などの拠点ゾーンが形成され、産業構造の多様化が図られている。また、改正沖振法により、情報通信産業振興地域(中部圏全市町村)、観光振興地域(北谷町西海岸地域)、特別自由貿易地域(中城湾港新港地区工業団地内)の指定などが、域内に指定されており、これらの基盤や制度を活用した産業の振興が期待されている。
さらに、宜野湾市、具志川市、沖縄市、北谷町を中心に本島にある情報サービス産業の約2割程度が中部圏に立地している。また、圏域の全市町村が沖縄振興開発特別措置法の情報通信産業振興地域に指定されており、今後情報通信産業の集積が進むものと期待されている。