少子化による18歳人口の減少を背景とし、国(文部省)が大学の新設を極力抑えているため、近年の新設大学、新設学部の名称は、高齢化に備えた福祉・保健・看護系、産学連携や情報化に対応した情報・理工系、これらのタイプに絞られている傾向がある。
最長寿県であるとともに今後も高齢化が進むことは確実な沖縄では、この4月からの介護保険制度の施行も考慮すると、要支援者や要介護者とされる高齢者の介護や看護などのみでなく、すべての住民の福祉向上や健康づくり推進のため、また、ノーマライゼーション理念の定着を図るため、ソフト・ハード両面にわたる人材育成が課題となろう。
そのための基本的取組方向としては、種々の教育機関による専門的な人材育成に期待するところも大きいが、住民自らが少子・高齢状況への対処のノウハウを収得し、実践することがよりいっそう重要である。例えば、高齢者や身体の不自由な人などの介護経験者が、また、ボランティア活動の従事者が、それぞれ自らの実体験を語ったり、交流したりしながら学習するシステムの形成も検討されるべきである。住民自らが教え、学ぶ、そうしたシステムは、高等教育や研究開発などの専門機関との連携ネットワークが築かれることにより、実質的なものとなっていく。
(6) 産学連携
産業経済面での沖縄の活性化・振興を目指して、国や県は沖縄振興開発計画などの振興計画において、沖振法の改正に伴う特別自由貿易地域、情報通信産業振興地域、観光振興地域などの新たな制度の導入や施策・事業を展開しつつある。また、現在、沖縄経済振興21世紀プランが検討され、沖縄国際情報特区構想、産業振興の拠点整備、新規事業創出体制などの新たな事業が検討されている状況にある。また、中城港湾に位置している第三セクターのトロピカルテクノセンターは、大学などによる基礎的・理論的な研究開発成果を具体的な事業展開に結びつけるための応用研究を目的として設置された機関であり、今日、具体的成果を世に問うまでに成長しつつある。当然のことながら、そうした国、県の対応にとって、産(企業・経済界)と学(大学などの高等教育機関及び研究開発機関)との間の密接な連携や協力関係の確立が、大きな前提となる。