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大阪市平野区平野郷のまちづくり活動について

出典:「都市計画」No 194 特集 市民まちづくりとNPO

 

■おもしろいことをいいかげんにやる町づくり■

大阪・平野の町づくりを考える会事務局(全興寺 住職)

川口良仁

 

◎歴史のぬくもりを生かす町づくり運動

大阪市の東南のすみに位置する平野は、大阪市内のどこよりも古く形成された町である。平安時代より交通の要衝として発展、戦国時代には町の安全と自治を守るため集落のまわりを二重の堀でめぐらした「環濠自治都市・平野郷」を形成し、近世には、河内木綿の集散地として全国に名をはせた。幸い今次大戦の戦火をまぬがれ江戸期に完成した碁盤目の町割りや、江戸中期に始められた夏祭りなどの伝統行事の数々も生活の中に定着し、大都市大阪の中にあって今なお歴史が息づく風土と景観を残している。

そんな平野にあって、歴史ある町を見直し個性のある住みよい町づくりをしようという気運が盛り上がったのは、昭和55年9月のこと、66年間庶民の足として親しまれてきた南海平野線の廃止に伴って壊される運命にあった八角形の駅舎の保存再生運動に端を発している。

「平町の町づくりを考える会」が結成され、以後今日に至るまでの14年間、『歴史のぬくもりを生かす町づくり』をテーマにハード、ソフトとりまぜて町づくり運動をさまざまに展開してきた。

(活動年表参照)

 

◎会則・会費・会長なしの町づくりを考える会

住民による町づくり運動を継続してきた「平野の町づくりを考える会」の会員は現在約30名。小人数ながらも年齢も30代から60代まで、職種も神官、僧侶をはじめ多種多様、このグループだけで結婚式が挙行できるほど。会則・会費・会長なしで今まで何となく続いてきたのは、次のようなモットーで運営されて来たからかも知れない。

(1)おもしろいと思ったことをやる。

(2)いいかげんにやる。

(3)人のフンドシで相撲をとる。

一見ふざけているようだが、それぞれ職業をもつ身、あまり生真面日に取り組むと息切れして来るので(1)(2)は大切、完成がない町づくり運動では、継続することが力である。また、資金がない当会ではお金を使わず、頭と体を使うことが身についた知恵。したがって(3)もモットーとなる。

 

◎平野・町づくり運動の構図

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☆《町で生活している素人の小さな集まり》

私たち「平野の町づくりを考える会」は、「自分たちの町は住んでいる者で守る」という自治都市・平野の伝統の精神を受け継ぐ気持ちで、行政を当てにしないで小さくとも自分たちで出来るところから実践してきた。町づくりの運動はあまり大所帯の組織より小回りのきく小人数のほうが、決断が早く効率よく活動できるのである。

☆《おもしろい+いいかげん》

私たちの会活動の一番のエネルギー源は「おもしろいことをやる」という精神である。この「おもしろい」ことを実行に移す時に、もうひとつ大切なキーワードは「いいかげん」ということである。「おもしろさ」というものは、きっちりと計画的に纏められたものからは期待できず、むしろ思わぬハプニソグや人との出会いによって生まれてくる。

この「いいかげん」精神が動きに転じたときはファジーに《アメーバー》のごとく町を動き回り、様々なところに触手を伸ばしていく。最初は単細胞で動きもささやかなものだが、動いて行くうちに次々といろいろなものを取り込み細胞分裂して、やがてひとつのかたちを形成して行く。

私たちは動きながら考える。動く前に考え過ぎると町づくりはとてもおっくうな、退屈なものになってしまう。

 

 

 

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