序 調査研究の概要
1 背景と目的
大阪府池田市(以下「本市」という。)は、大阪市の北西に位置し、古くから交通の要衝にあたり、商業の集積地として栄えてきた。
本市は昭和14年(1939年)に市政を施行して以来、「平和安全都市」、「教育・文化・健康都市」及び「風格あるゆたかな都市」の都市宣言を行い、これら三宣言を基本方針として都市施設の整備、福祉・教育の充実等に努めてきた。
しかし、大阪都市圏の人口の沈静化や猪名川流域北部の宅地開発等によって、本市には求心力の回復など多くの課題が生じてきており、21世紀を展望した個性と魅力あるまちづくりをめざした施策の展開が求められている。
本市には多くの文化遺産や史跡があるが、とりわけ、五月山以南から池田駅周辺にいたる旧池田地域は、本市の中心部として発達してきた地域であり、歴史・文化資源の豊富な地域である。また、コンパクトな本市市街地の中でも特に商業・業務・行政機能が集積し、「池田の顔」として位置づけられる地域である。しかし、近年は近隣都市の鉄道駅周辺の都市整備等やモータリゼーションの進展、大阪教育大学の移転などにより、相対的な地位の低下を招き、まちの活気がなくなりつつあるとともに、阪神・淡路大震災などにより伝統様式の建物が壊れるなど歴史的なまちの雰囲気も徐々に崩壊しつつある。このままの状態を放置すれば、まちの活気は益々低下し、豊かな歴史を抱くまちの個性も喪失していくことは明らかである。
このような背景から、本調査研究は、この旧池田地域を対象に、市街地や歴史・文化資源の特性を把握し、住民参加を基本として、歴史・文化資源を尊重・活用した、個性と魅力のある、人々が暮らしやすいまちをつくるための取組み方向・方針を明らかにすることを目的とする。
2 調査研究のポイント
1] 地域特性を探る
調査対象地域の現状を多様な角度から分析し、「まちづくり」との関連性に注目しつつ、地域特性(資源)の把握に努める。