5 今後の事業推進の考え方
今後の事業推進に当たっては、大きくは次の3点がポイントとなる。
1] 地権者のコンセンサスづくり
2] 業務代行的な機能を担う事業主体の組織化
3] 開発に当たっての法的なクリア
(1) 1] 地権者のコンセンサスづくりについて
本調査研究では、これまで検討されてきた調査も踏まえ、当面整備が可能と思われる需要の絞り込み、及び整備対象地の候補を選定した。
また、その整備についても、整備対象候補地を一体的にすすめる考え方から、そのなかを地区区分し、段階的に整備する考え方を示している(図表5-11参照)。
ここで、再度その3つの考え方を整理するとつぎのものである。
■整備の考え方の代替案
I:整備対象候補地(総面積103ha)全域を市街化区域に編入し、全体を区画整理事業としてすすめていく。
II:谷津田等の保全的なエリアは当面の対象区域からは除外し、それ以外の地区を市街化区域に編入し、区画整理事業としてすすめていく。
III:まずはインターチェンジ周辺整備を第1期としてすすめ、そのインパクトにより周辺の整備を図っていく。
いずれの方法を採るかは、地権者の意向が大きくかかわってくるものである。
「I」の場合は合意形成に多大な時間を要することが想定されるが、農業をやりたい人、あるいは自ら商売をやりたい人、遊休地を貸したい人等のそれぞれの意向調整が土地の交換ということで図りやすい。さらに、谷津田のところは都市サイドから農業公園的な土地利用として空間を担保でき、農業継続者や農業型レクリエーションの場として活用していくことが考えられる。
「II」の場合は、区画整理事業を実施しようとした場合緑地空間の担保に伴う減歩負担の問題は大きく軽減できる。しかし、この空間は当該地域の魅力付けの面からも重要な意味をもつものであり、何らかの形で保全していこうとした場合には農業サイドからの事業導入等により、積極的な緑地利用の施策が必要と思われる。
また、「III」の場合には、土地所有者も限定され、開発行為という事業手法により早期な事業着手が期待できるが、インターチェンジ改良のコスト負担や、集客施設導入による収益メリットを享受できる人が限られたものになるといった問題点も内包している。
これらのプラス・マイナス面を踏まえながら、次のステップとしては、今までの計画対象地に関する各種調査や、需要サイドの動向を踏まえた本調査の研究の成果等を一つのたたき台にしながら、地元の研究グループ等を軸にし、地権者の同意を得た開発マスタープランの作成が必要である。