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いわば、長年、福祉分野で蓄積した経験・ノウハウをもつ「既存の福祉資源」を「地域の共有資産」として再評価し、位置づけ直すという課題である。

高齢者に対する福祉サービスをコーディネートする機関として、各地に在宅介護支援センターが設置されてきている。この運営は、市町村からの委託事業であるが、その機能をどの機関が担うかということも地域の福祉サービスの資源の開拓と提供のされ方を左右する重要な選択である。

福祉文化の土壌という視点からは、インフォーマルな友人関係や隣近所による支え合いといったものから、住民参加型のホームヘルプサービスにみられるようにシステム化されたものまであるが、制度も一種の「地域資源」であるとするならば、相互扶助の精神を背景として、地域の福祉文化を醸成する制度の創造も取組む必要のある分野といえよう。そして、このような制度を支える上で、社会福祉協議会や社会福祉法人の果たす役割は大きいものがあろう。

いずれにせよ、本調査は介護保険の適用外となる個別のサービスに焦点をあて、その改善の方策を検討したものであり、以上に指摘した、よりトータルな社会形成・地域経営の視点からの資源発掘の作業は、残された一つの大きな課題であるといえる。そして、この個別サービスの改善方策の検討と社会形成・地域経営の視点からの検討というアプローチを総合することによって、より十全な「健康福祉資源の創造と活用」を期することができると思われる。

 

 

 

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