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「福祉電話」の設置に関しては、その利用料金(基本料金と通話料金)に対する補助のあり方が異なり、基本料金だけを補助するケースと通話料金を含めた利用料金全額を補助するケースとがあるが、後者については通話料金を自己負担とするように改める方向で検討が進められている。

「緊急通報システム」は、高齢化と核家族化が進展した昭和50年代に単身高齢者の孤老死が問題となり、昭和56年に電電公社(現NTT)が福祉電話「シルバーホンあんしん」を開発、緊急時に近隣者が駆けつけるシステムとしてスタートした。同63年に厚生省が緊急通報装置を「日常生活用具給付事業」の対象項目として福祉予算化したことで、単身高齢者に対する行政サービスとして全国的に普及したサービスである。東京都が救急出動が常時可能な消防本部を受信センターとするシステムを採用したことにより、自治体の多くがこの「消防本部への直結方式」(消防方式)を採用しており、3モデル地区とも端末を設置、利用者が近隣者等に協力員を依頼し、「緊急時の出動」機能を消防本部が担う同様のシステムを採用している。

同システムの問題点と課題として、図表5-4のような回答があった。高齢者の緊急通報の実態は誤報や話相手を求めた電話が多いこと(資料編第2章)が問題点・課題として浮かび上がっており、これらの問題を踏まえて大宮市と東松山市では現行システム見直しを検討中である。他方、小鹿野町も基本的には「消防方式」であるが、難病等特定の障害者の日常的な相談等に応じる必要性に配慮し、この相談に「在宅介護支援センター」のホームヘルパーや併設施設である「訪問看護ステーション」の看護婦や保健婦が対応するとともに、町立病院の医師とも連絡、連携する(相談によっては訪問する)ような人的ネットワークが構築されている。これは相談等への対応システムとして示唆深い事例といえよう。

また、このサービスの対象はひとり暮らしの高齢者に限定されているが、増加している日中独居高齢者の中からも利用希望が出てきている。

図表5-4 モデル地区における問題点・課題(緊急通報システム)

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