*市町村から委託を受けた事業者(オペレーションセンター)が、家族からの通報により、痴呆性高齢者が身に付けている小型の発信装置からの電波をキャッチし、GIS(地図情報システム:地理的位置や空間に関するデータを管理・分析するシステム)を活用して位置を特定し、徘徊経路をリアルに家族に伝えることができるシステム。
(2) モデル地区のサービス比較と問題点・課題
・モデル地区では、すべてが「福祉電話」を設置し、「緊急通報システム」が稼動している。大宮市と東松山市では「痴呆性老人徘徊感知機器」の給付等実施している。3地区が実施する配食サービスも安否確認を目的の一つとしている。
・東松山市では、「呆け老人をかかえる家族の会(埼玉支部)」と連携し、徘徊高齢者を対象とした徘徊探知・保護システム「徘徊高齢者等SOSネットワーク」に協力する。
・このほか、社協を拠点としたボランティアの「電話による一声訪問活動」や交番の巡査による「年末のひとり暮らしの高齢者宅見回り」などの実施が確認された。
・「福祉電話」の設置では、利用料金(基本料金と通話料金)に対する補助のあり方が異なるが、全額費用負担の見直しが検討課題となっている。
・「緊急通報システム」は、いずれの地区も緊急時の出動機能を担う消防本部が受信センターとなる「消防方式」を採用しているが、誤報が多く、また、高齢者の相談に応じられないことが問題視され、見直しを検討中である。
・行政サービスの対象要件外となる日中独居高齢者にも利用希望が広がりをみせている。
モデル地区における「見守り・安否確認システム(サービス)」として、図表5-1のような行政サービスが確認された。
いずれも国庫補助のある「福祉電話」の設置を実施しており、「緊急通報システム」を稼動しているほか、「痴呆性老人徘徊感知機器」については、大宮市が給付、東松山市が給付と貸与サービスに対応している。
なお、第3章1節で検討した3地区の配食サービスは対象者の安否確認をも兼ねたサービスであるため、ここに含めた。