第5章 見守り・安否確認システム
1 見守り・安否確認システムの現状
(1) 行政サービスの概要
・ひとり暮らしの高齢者等を対象とした「老人用電話(福祉電話)」と「緊急通報装置」、「痴呆性老人徘徊感知器」が「日常生活用具給付等事業」で国庫補助対象となっており、各自治体はこの情報端末を設置し、高齢者等の見守り・安否確認システムを構築している。
・平成12年度予算要求では「家族介護支援対策」として、「徘徊高齢者家族支援サービス事業」に徘徊探知が盛り込まれる。
行政サービスとして実施される「見守り・安否確認システム(サービス)」に関する国のこれまでの施策は、「日常生活用具給付等事業」における「老人用電話」(障害者用電話と合せて「福祉電話」と総称)、「緊急通報装置」*、「痴呆性老人徘徊感知機器」**の購入費の補助である(平成10年度まで)。
*平成11年度以降、「日常生活用具等給付事業」の「緊急通報装置」は、「在宅高齢者保健福祉推進支援事業」の「緊急通報体制等整備事業」となり、給付・貸与のほか、啓発活動等が補助金交付対象となる。
**徘徊を伴なう痴呆性老人が屋外へ出ようとした時、出口に設置したセンサーにより感知し、家族及び近隣等へ通報することが可能な機器。
「老人用電話」は、ひとり暮らし老人の安否の確認、各種の相談に応じるために昭和46年度より設置されており、その対象者は「おおむね65歳以上の低所得のひとり暮らし老人等」と定められている。
「緊急通報装置給付・貸与」の対象者は、1]おおむね65歳以上のひとり暮らし老人及びねたきり老人又はこれに準ずると市町村長が認めた者を抱える高齢者のみの世帯、2]ひとり暮らしの重度身体障害者等と定められ、緊急通報装置の給付又は貸与を行う場合、自治体は次のような対象者の支援体制の整備を行うこととされている。
1] 協力員の確保:対象者の緊急時に迅速に発信者宅に出向き、状況等を確認し、必要な措置をとることのできる協力員を確保すること。
なお、協力員は対象者1名につきおおむね3人以上を確保すること。
2] 関係協力機関との連携:緊急時の救護等のため、消防署、老人福祉施設、医療機関、協力員等による連携システムを確立すること。
平成12年度予算要求には「家族介護支援対策」が新設され、「徘徊高齢者家族支援サービス事業」が盛り込まれた。痴呆性老人に対してはこれまで屋外へ出ようとした時の出口での感知機器が補助対象であったが、新設事業では、「痴呆性の高齢者が徘徊した場合に、早期に発見できるシステムを活用してその居場所を家族等に伝え、事故の防止を図るなど家族が安心して介護できる環境を整備する」ことが明示され、「GIS(Geographic Information System)を活用した位置探知システム*」が早期発見システムとして例示されている。