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そこで、本調査研究では、各サービスに対するニーズ(潜在的なものも含む)の動向や供給システムの特徴から評価した検討対象としての重要度(優先度)と、副次的には、検討項目や参考事例の豊富なケースの方が分析の成果もより有意義である、という調査効率上の理由から、1]配食サービス、2]外出支援(移送)サービス、3]見守り・安否確認システム、の三つを対象とし、4]寝具洗濯乾燥消毒サービス、5]訪問介護・家事援助サービス、6]福祉用具貸与・給付サービス、については除外することとした。サービス毎の評価は図表2-3のとおりである。

 

4 代替システム案の考え方

 

本調査研究の目的は、基本的には、市町村における高齢者の在宅福祉サービスの提供について、本来的には健康福祉資源以外の機能を担う社会資源を健康福祉資源として活用することによって、効果的で効率的な在宅福祉サービスの提供体制の整備に資することである。これはつまるところ、自治体の政策選択のバリエーションを高めていくことにつながるが、その組立に際しては、政策評価の考え方を援用した。

つまり、事前評価の観点からは、資源化を図ったり新たな資源開発をすることで、代替システムを構想していくことになるが、これは代替システムがうまく機能するだろう、と言う予測を前提とした組立となる。一方、事後評価の観点からは、既存資源の位置づけや役割あるいは意味づけを転換することで代替システムを構想していくことになるが、これは既存システムの改善という観点からの再評価を前提とした組立となる。そして、いずれの観点においても共通することは、代替資源あるいは代替システムの多様な選択肢をもとに最適な選択を図ろうとすることにある。このような考え方を具体的には、以下の四つの観点で検討した。

すなわち、第1に、「多様な主体による効率的なサービス供給」と「住民参加による地域福祉の推進」という、二つの意義をふまえ、地域資源の「創造」と「活用」という、複眼的な視点からアプローチする。この場合、「創造」の意味するところは、他の社会資源を健康福祉資源化するための新たな開発と発掘であり、いわば事前評価の意味を持つ。「活用」は前者で資源化されたものの利用も含め既存の健康福祉資源の再評価であり、これが事後評価の意味を持つ。

第2に、地域資源の創造と活用の前提として、在宅福祉サービス(大別すれば、通所系施設サービス、在宅(訪問系)サービス、見守り・安否確認)の現状、並びに当該地域における健康福祉資源の配置状況を確認し、この分野の総体的な資源量、資源の位置づけや役割などを把握する。ここでの主眼は、在宅福祉サービス分野において、活用されている意味や背景を確認し活用可能な資源を明確化することにある。ここで確認された多様な資源が、代替システムのサービス要素として利活用されることになる。

第3に、在宅福祉サービスの供給構造を特定化するために、サービスを成立させている個々のサービス要素に分解し、その上で住民ニーズの適合関係の中から資源化や開発を検討する。ここで、サービス要素とニーズとの関係からは、ニーズの類型化とサービス機能の分類化を図る。例えば、住民ニーズが顕在化している場合には、改善する方向からサービス要素を機能別に把握した上で、既存資源の活用と他の資源の転換利用を検討、すなわち「既存システムの改善」という視点から判別する。

 

 

 

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