第4章 地方公共団体が行う地球温暖化防止施策の今後のあり方
自治大臣官房企画室
平成11年4月9日に閣議決定された地球温暖化対策に関する基本方針において地方公共団体は、温室効果ガスの排出抑制等のため、排出抑制等に資する都市整備等の推進や二酸化炭素吸収源の保全・強化対策等を基本として、地域の自然的・社会的条件に応じて取るべき施策を判断し、きめ細かい地球温暖化対策を講ずることとされている。
地球温暖化対策については、人間の生活や産業活動として化石燃料等の使用(=消費)により発生する温室効果ガス(=廃棄物)の発生を如何に抑制し、地球環境への負荷を軽減するかが課題となっている。具体的には、二酸化炭素排出削減対策として、新エネルギーの導入の促進等のエネルギー供給面での施策、産業、民生、運輸の各部門における抜本的な省エネルギー化等のエネルギー需要面での施策、さらには植林等の二酸化炭素吸収源対策などの広範囲な施策が考えられる。
一部の地方公共団体においては、既にそれぞれの状況に応じて多様な取組がなされているが、新たな取組を検討している団体やいまだ取組が十分でない団体においては、本報告書で示された考え方を参考にしながら、それぞれの自然的・社会的条件に応じて、効果的・効率的な取組をすることを期待したい。
ところで、国においては、資源エネルギー、環境問題などの制約条件が厳しさを増しつつある中で、資源の有効活用と廃棄物処理問題の解決を図りながら、経済成長を維持しつつ21世紀に向けて活力ある社会と地球環境を維持していくためには、早急に「循環型社会」を構築する必要があるとの認識の下に、今国会に循環型社会基本法(仮称)を提出すべく準備が進められている。その内容は、物質循環の観点から、廃棄物・リサイクル対策を一体的に進めるため、資源の効率的利用等による廃棄物の排出抑制(リデュース)、廃棄物製品(取り出した部品を含む)の再利用(リユース)又は原材料としての再利用(マテリアル・リサイクル)、最終処分の前にエネルギーとしての利用(サーマル・リサイクル)等である。
循環型社会の構築は、省エネルギーの推進と温室効果ガスの排出抑制、廃熱等の効率的利用により、地球温暖化の防止にも大きく貢献するものであり、地方公共団体においても、廃棄物・リサイクル対策と地球温暖化対策とを関連付けながら、循環型の地域社会の構築を目指していく必要があると考えられる。
そのような観点から、各委員の報告を踏まえて、地方公共団体が地球温暖化対策に取組む際に特に留意すべき点を以下に示すこととする。
一つは、地方公共団体は地球温暖化対策を環境基本計画や総合計画に位置付け、すべての施策の立案や事業執行に当たり地球温暖化対策の視点を加味することとすべきである。
地球温暖化対策は、環境部局で実施される施策にととどまらず、むしろ事業部局の事業執行に際し温室効果ガスの排出量抑制等が行われることが重要であり、また、都市基盤の整備や自然環境の保全・緑化等、他の施策目的とあわせて行われるものが重要である。このため、すべての施策の実施に当たって地球温暖化対策の視点を持つことが重要である。