第4に、これも第3と同様の意識の問題ではあるが、再生可能な物をリサイクルするためのシステムについては、一定量以上の物を確保する必要がある場合が多いと考えられることから、市町村域を越えた広域的な取組が必要不可欠なケースがあると思われるが、一般廃棄物の適正処理は市町村の責務、産業廃棄物の適正処理は排出者の責務ということから、広域自治体である都道府県においては、廃棄物処理に関する政策は、基本的には、都道府県が直接担当する事務ではないとの意識に陥りやすく、都道府県が積極的に施策展開を図っていく面が弱くなっている。
(ウ)法制度の見直しの必要性
循環型社会の構築について、廃棄物のリサイクルの視点から見た場合、まず、第1に、再生可能な物であるか否かに着目し、再生可能な物については、できるだけリサイクルシステムを構築していくことが必要であり、また、次に、どうしても再生不可能な物については、焼却等の処理に当たっては、例えば、ゴミ発電、余熱利用等、極力エネルギーを回収利用するようなシステムを構築していくことが必要である。
そのためには、現行の廃棄物の処理及び清掃に関する法律を抜本的に見直し、再生品の有効利用の観点から、廃棄物の処理に関する法体系を構築しなおすことが必要不可欠である。
また、再生可能な物をリサイクルするためには、その物を、どれくらいの量集める必要があるか、どこから、どのような運搬手段で集めてくるか、リサイクルされた製品がどのように活用されていくのかについて、それぞれの物の特性に応じ、国、都道府県あるいは市町村で、具体的なシステムを構築していかなければならない。その場合、できるだけ多くの物が再生可能となるような技術開発、リサイクルが容易な製品の製造のための技術開発、販売を促していくことも重要な視点となる。
なお、こうしたシステムを構築していくに当たっては、民間企業の協力が必要不可欠となってくると思われるが、そうした点も含め、廃棄物の処理及び清掃に関する法律以外の他の法制度についても、資源循環型社会を構築するという視点で見直しを行い、必要に応じ、大胆な改正が求められるものも出てくると考えられる。
イ 動機づけとなる施策の展開
特に1992年のリオサミット以来、循環型社会の構築をはじめ、二酸化炭素の排出抑制等、地球環境問題の解決に向けた様々な施策が展開されてきたところであるが、ややもすると、一般的な普及啓発が中心であったと考えられる。
そうした施策の効果や諸外国における取組み事例等を踏まえると、やはり、国民や企業の行動を具体的に転換していくためには、そのための何らかの動機づけが必要不可欠であると考えられる。国や地方公共団体における従来の施策をみると、我が国においては、この動機づけという視点が不十分であったといわざるを得ない。
一般的には、動機づけとしては、金銭的なインセンテイブ、名誉等の第3者の評価的なインセンティブ、そして、動機づけという言葉には厳密にはあてはまらないかもしれないが、規制という手法が考えられる。