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(6)グラウンドワーク・トラスト

地域でグラウンドワーク活動を行うために、行政によって設立された非営利民間企業。いわゆるNPOである。基礎的環境の整備、環境教育、コンサルティングなどを行う。地方公共団体との契約では環境監査なども実施している。

特に、近年は、地球環境問題への対応を大きな活動の主軸の1つに据えており、以下のような分野で、実際に自治体等が地球温暖化対策を進めることを側面から支援している。

○地方自治体や地域の中小企業に対して、通常のコンサルティング会社よりも安いコストでISO14000シリーズの認証取得手続きを行う。

○広範な分野で、地域の省エネ省資源、リサイクル活動を支援する。特に地域のコミュニティや中小企業の取り組みを応援している。

○地域の学校やPTAなどと連携し、総合的な環境学習を促進している。特に、民間企業のスポンサー事業の展開に力を入れている。例として、環境保全活動に情報科学の分野から支援するブリティッシュ・テレコム社の支援事業「グリーンIT」や、地域の電力会社が提供する環境学習プログラムなどを地域のコミュニティとのパートナーシップのもとで展開している。

 

(7)英国におけるグラウンドワーク・トラストの活動

グラウンドワーク・トラストの事例として、英国のトラストの活動の一部を紹介する。

資料1:英国グラウンドワークの概要

全体のスタッフ数は決して多くないが、多くの活動を展開している。

特に「教育活動/コミュニティ参加」の活動が目立っている。

 

資料2:英国グラウンドワークの収支

中央政府から41%、地方政府から33%、そして民間から19%の財源を得ている。また、EUからの補助金も4%入っている。いわゆる公共事業として行うよりも大きな財源を確保できている。

 

資料3:英国グラウンドワークの全国プログラム

スポンサーとして、環境省やEP(イングリッシュ・パートナーシップス:国の設立した独立行政法人で地域の再開発を支援する)などの国の予算、宝くじなどの予算も使われている。特に、教育/コミュニティ参加の分野では銀行や電話会社、電力会社、石油会社などの民間企業によるスポンサリングが目立つ。こうした企業の参加(パートナーシップ)を積極的に組み立てるのがグラウンドワーク・トラストの大きな仕事である。

 

我が国でも、自治省、農林水産省、環境庁、国土庁、郵政省が主務官庁となって、既に財団法人日本グラウンドワーク協会を設立し、各地のNPOなどによる環境改善活動の支援を始め、パイロット事業などで少しずつ実績があがってきたところである。

今後、ますますこうした「市民・企業・行政のパートナーシップ」による地域での活動が重要になっていくものと考えられる。

その際、特に行政(地方自治体)側の大きな意識改革と市民・企業とのオープンな意見交換が、一層求められるとことである。合わせて、国や各種団体からの効果的な支援も期待されるところである。

 

 

 

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