もし通勤費の支給方法が変更できる環境にある地方自治体に対しては、次のような提案をしたい。それは通勤費をエコ・マネーで支給するという提案である。この場合の支給額は、通勤する職員にとって最も一般的な交通手段を利用した場合の支給額でよい。その状況での通勤費相当額のエコ・マネーの支給ということになる。
エコ・マネーとは、狭い地域、例えば導入した地方自治体の機関のみで流通するお金である。このお金は、公共交通機関であるバスの料金の支払い、自家用車のガソリンを、例えば地方自治体と契約しているガソリン・スタンドで購入する場合の支払い、地方自治体の駐車場の料金の支払い等に利用できる。もしもう少し利用範囲を広げられるなら、地方自治体の各機関の食堂や売店の支払いに利用できるようにしてもよい。勿論、これらは1例であり、こうでなくてはならないというわけではないが、こうしたエコ・マネーによる通勤費の支給が可能になれば、自家用車による通勤交通を対象として提案されている対策を推進していく際の障害を低くすることが可能となる。例えば、支給に際して、お金による支給の場合と比べ、エコ・マネーによる支給であれば、全国一律の基準ではなく、地方自治体ごとの特性を生かした支給基準を用いることができ、利用交通手段をそれほど気にしなくてもよい。また相乗りの場合、相乗りさせる職員と相乗りさせてもらう職員の間で相乗り料をエコ・マネー表示でき、清算も容易になるであろうし、地方自治体の駐車場の料金もエコ・マネー表示でき、これも導入しやすくなるであろう。そしてもし相乗りが職員の間で、それほど特殊な通勤方法ではなく、温室効果ガス発生量抑制のために有効な対策であると認識されるようになれば、職員の間で相乗りの普及を支援するための相乗り相手のマッチング・システム(いわば求車・求人システム)の構築や、相乗り車優先駐車場の導入も有効な対策となろう。さらに相乗り車両に上述の(3)で提案した燃費計を設置し、省燃料消費運転に努めれば、さらに効果的であろう。
エコ・マネーの導入は、地方自治体にとっては、既に地域振興券の配布で実験済みと言える。また本提案は、一般の住民を対象とした導入ではなく、地方自治体職員を対象として導入しようというものであり、その意味で導入は、それほど難しいものではないのではないかと考えている。さらに住民や民間企業にも範囲を広げる場合でも、エコ・マネーは、現在一部の地方自治体が職員に対して支給している食費の補助券や各種の催物の割引券の機能を少し広げたものであり、名称ほど新しいものではない。
(5)物流効率化の支援 −3番目及び4番目の交通行動への対策−
地方自治体の財やサービスの購入に伴って発生する交通行動や地方自治体の事務・事業を補助するために地方自治体から委託されたことに伴って発生する交通行動を対象として、地方自治体が自ら温室効果ガス発生量抑制のために行うことができる対策として、どのような対策が考えられるのであろうか。