一方、これと平行して、平成12年度事業として(財)省エネルギーセンター内にESCO手法による省エネルギー改修事業の「省エネルギー効果計測・検証手法検討委員会」が設置され、ESCO推進協議会も全面的にこの活動に参加協力を行っている。
また、国をはじめとして、地方公共団体にあっても「地球温暖化防止行動計画」の策定が喫緊の課題とされており、専門的見地からの省エネルギー対策立案はESCO事業者にとっても大きな役割を期待されるものと考えられる。
このように、わが国におけるESCO事業の展開はようやくその端緒についたところであり、現在はわが国を代表する大手企業がその中心的な役割を果たそうとしているが、近い将来は、地方においても、技術的にも、社会的にも高い信頼性を持った中小ベンチャー企業の参入と、活躍の場が広がることが期待される。
(3)アンケート結果に見る地方公共団体の取組(民生部門及びESCOについて)
ア 温暖化防止施策実施率
今回のアンケートでは、民生部門の対象となる施策として、「a 太陽エネルギー、地熱、風力等の利用」、「b ごみ焼却余熱の利用」、「c コージェネレーションの導入」の三点が調査対象とされている。以下順に結果を示す。
(ア)太陽エネルギー、地熱、風力等の利用
全体の実施率は15.0%であり、70.2%の団体では実施されていない。また検討中とする回答が14.2%見られた。実施していない主な理由としては「財源の問題」となっている。施策を実施している場合に評価の仕組みがあるとする団体は14.5%である。
これを団体規模別で見ると、20万人以上の市では実施率は51.4%と半数以上の市で導入されているとの報告である。以下規模が小さくなるに従って実施率は低下しており、5万人以上20万人未満の市では27.1%、5万人未満の市で16.1%、2万人以上の町村で14.0%、1万人以上2万人未満の町村で10.0%、1万人未満の町村で11.9%となっている。
(イ)ごみ焼却余熱の利用
全体の実施率は16.9%であり、75.3%の団体では実施されていない。検討中とする団体は7.3%である。実施していないとする主な理由は、「ごみ問題は広域の問題」、「財源の調整」とする回答となっている。施策を実施している場合に評価の仕組みがあるとしている団体は14.1%と太陽エネルギー、地熱、風力等とほぼ同程度見られる。
これを団体の規模別で見ると、20万人以上の市では85.3%と高い実施率を示す。5万人以上20万人未満の市では44.8%、5万人未満の市では25.6%、2万人以上の町村で22.0%、1万人以上2万人未満の町村で12.6%、1万人未満の町村で4.8%となっており過疎地域での実施困難な様子がうかがえる。