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その間、ESCOは、顧客との間で「パフォーマンス契約」という独自の契約を締結し、省エネルギー方策の導入による削減効果を保証し、効果が得られない場合はESCOが弁済する契約を伴っている。また、場合によっては、省エネルギーに関わるプロジェクト資金の提供も行う。自治体等にとっては、省エネルギーのPFI版と言えよう。

すなわち、ESCOを活用することによって、顧客は「自己資金ゼロで省エネルギー改修ができ、削減保証によって返済が可能となる」というメリットを享受することができる。

さて、ESCO事業のその後の展開は、我が国においてもようやくスタート段階に入ったといってよい。本事業に関する本格的な検討が開始されたのは、平成8年4月に通商産業省資源エネルギー庁内に設置された「ESCO検討委員会」においてであった。この検討会ではESCO事業についての海外の動向、日本への導入可能性、事業成立のための条件、導入する場合の適切な事業形態及び事業活動などについて多角度からの検討が加えられた。この報告を受けて平成9年度には(財)省エネルギーセンター内に「ESCO事業検討委員会」が設置され、民間企業を中心に約230名の参加を得て、ESCO事業をわが国に導入する際の条件整備を行うことを目的に、事業導入の際の問題点の整理と提言を行った。さらに平成10年度は同センター内に「ESCO事業実証委員会」を設置し、実際の省エネルギー性、資金回収の可能性、契約方法等の検討を行ってきた。

これら一連の研究の進展に伴い、我が国においてもESCO事業に関する関心は急速に高まり、新たな事業機会ととらえて進出したり、進出を検討する民間企業が数多く見られるようになった。しかし、我が国においてESCO事業が健全な発展を成し遂げるためには、本事業の普及啓発と、これに基づく社会的認知・信頼の確保をはじめとして、公共部門への参入障壁の解消、一層の省エネルギー技術の開発、金融システムの整備、ESCO事業を支える諸制度の構築など解決すべき課題も多い。このような課題解決に向けて個々の事業者や参入希望者だけで対応するには自ずと限界があるとの共通認識のもと、平成11年10月6日、茅陽一慶応大学教授を会長とする「ESCO推進協議会」が民間ベースで設立された。設立発起人15団体をはじめとして平成12年1月15日現在で19団体が会員として参加しており、加入希望団体も数を増しつつある。

 

図表3-6 ESCO事業の経費と利益配分

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資料:「ESCO事業導入研究会報告書<ESCO事業推進に向けて>」ESCO事業導入研究会、(財)省エネルギーセンター、平成10年3月

 

 

 

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