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エ 省エネルギー基準の強化以外の推進措置

省エネルギー基準の強化以外の措置として推進されつつあるもの及び検討が加えられている主要な措置について整理する。

 

(ア)サマータイム制度

サマータイム制度は、日の出時刻が早まる春から秋にかけて、時計の針を1時間進め、夕方の明るい時間を増やし、日の出から1日の活動開始まで太陽光を有効に活用していない時間を減らす制度である。海外ではデイライト・セイビング・タイム(Daylight Saving Time)とも呼ばれている。

我が国の夏至における日の出時間は地域によって異なり、午前3時半〜5時半となっているが、国民の約8割の起床時間は午前6時以降となっていることから、日の出と共に明るくなっているにもかかわらず寝ているのが一般的である。サマータイム制度を導入すれば、日の出時刻が1時間遅くなるためこうした起床前の有効に利用できていない時間を短くすることが可能になり、日没が1時間遅くなった分、照明の点灯時間を1時間遅くする事が可能になる。これがサマータイム制度の基本的な仕組みである。

現在この制度は、世界70カ国以上で導入されておりOECD加盟29カ国の中では、日本、韓国、アイスランド(白夜になるため、サマータイムを導入する必要がない)以外のすべての国において実施されている。実施国の導入の背景・理由としてもっとも多くあげられているのが、エネルギー、化石燃料の節約である。多くの国が二度の石油危機を契機に導入したこともそれを裏付けている。

我が国においても、戦後石炭事情の悪化、電力不足の深刻化を背景として、GHQの指示により、サマータイム制度が昭和23年から導入された。しかしその導入に当たっては十分な国民的合意が得られないまま、GHQの指令により半ば強制的に導入されたこと、また、当時の社会環境がこの制度を十分に活用できるような状況になかったこともあり、昭和27年4月にGHQの廃止と時を同じくして廃止された経緯がある。

それ以降サマータイム制度が再び議論されたのは、2度の石油危機を経てからのことである。このときの世論調査結果では、賛成が反対を上回っていたものの、国民の過半数が賛成となるような結果ではなかったため、実施は見送られたままになっている。

今回再びサマータイム制度の導入が検討されたのは、申すまでもなく、京都会議の結果を受けて、地球環境問題への対応の一環として、この制度の導入の検討が行われた。すなわち、地球環境問題解決に向けて、上述したように様々な省エネルギー政策が打ち出されたが、社会制度面からの具体的な対応策は未着手であった。その意味からもサマータイム制度のような、社会的な仕組みを変えることによる地球環境問題への対応は意義のあることと考えられる。サマータイム制度導入による、直接的な省エネルギー効果は、家庭における照明、屋外広告塔の照明、屋外運動公園等の夜間照明等の電力消費削減や、オフィスにおける冷房用エネルギーの節減等からわが国全体でおおむね原油換算50万klの省エネルギーが見込まれる。

 

 

 

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