2 京都市における地球温暖化対策の推進に関する取組−現状と課題−
調査研究委員会 委員
山崎勝重
(1)はじめに
京都は1200年の歴史を持ち、年間4,000万人近くの観光客が訪れる国際観光都市であり、本市では、従前から三山を中心とした自然環境の保全、並びに景観の保全に力を入れてきている。
近年、環境問題における中心課題が産業公害から都市・生活型の環境問題や地球環境問題に移ってきている。かつて深刻であった公害のような環境問題については、地方自治体でも積極的な対応がとられ一定の成果を得てきた。今日の都市・生活型の環境問題や地球環境問題の特徴は、我々一人ひとりが被害者であると同時に加害者であるということである。つまり、一人ひとりの活動からの環境負荷が、今日的な環境問題を引き起こしており、このような新たな局面を迎え、地方自治体が担う役割は大きく、今後の地方環境行政にも相応の対応が求められている。
このような中、本市ではとくに地球環境保全に向けた取組に力を入れており、とりわけ平成9年12月に本市で開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)の前後に精力的な取組を行ってきた。
そこで、現在本市が実施している各種の地球温暖化対策に関する取組を紹介するとともに、これらの取組を進めるにあたり、現在本市が抱えている問題を整理することにより、今後本市を始めとする地方自治体が、有効に環境施策を展開していくための課題等を提起していきたい。
(2)京都市における地球温暖化対策に関する取組
ア 基本構想における「地球温暖化対策」の位置づけ
本市では、平成11年12月に21世紀の京都のまちづくりの基本方向を示す「21世紀・京都のグランドビジョン」(新基本構想)を策定した。その中で、「消費の急速な拡大がもたらした大量の廃棄物の発生や環境破壊の実態は深刻である」、「大量生産・大量消費・大量廃棄型の都市文明のあり方に対して、わたしたちは環境との調和をめざす持続可能な社会をつくっていく必要があり、これは次世代に対するわたしたちの大きな責任である」と現状を認識するとともに、「市民のくらしとまちづくり」の章において、「経済活動を適性生産、適性消費、最小廃棄の循環経済のなかで営み、日々のくらしのなかで環境に負担をできる限りかけない生活を送ることにより持続可能なまちをつくっていく」と謳い、今後の方向性を示した。
イ「京都環境基本条例」及び「新京都市環境管理計画」
本市では、本市の環境保全に関する基本理念や市民、事業者、行政等本市に関わるすべての主体の役割等を明確にし、広く環境保全に関する基本的な事項を定めた制度的枠組みを整備するものとして、平成9年3月に「京都市環境基本条例」を制定し、同年4月から施行している。本条例では5つの基本理念の1つに「地球環境保全の推進」を掲げている。
また、「京都市環境基本条例」の制定に先立って平成8年3月に策定した「新京都市環境管理計画」でも「環境負荷の少ない循環型のまちづくり」の項目の中で地球温暖化等の地球環境への負荷の低減を図っていくことが掲げられている。