第6章 現地調査 −高知県・高知市・土佐市・春野町における取組み−
1 はじめに
第1章、第2章でみたとおり、行政評価や情報公開に関しては、各自治体で様々な取組が行われており、行政と住民との新たな関係づくりが模索されている。そこで、住民参加型行政の先進県といわれる高知県で現地調査を行い、高知県で実施されている「県民をまきこんだ予算編成」、「NPO支援の取り組み」、高知市における「住民参加によるコミュニティ計画」、土佐市、春野町における「介護保険の準備作業」について、調査・検討を行った。
2 高知県の取組みについて
高知県においては、平成7年の食糧費問題が発生して以降、以下のとおり積極的に情報公開を進めており、平成10年3月の高知県情報公開法の改正では住民との情報の共有を図り、「監視」から「参加」へ、理念の転換を図っている。
平成 7年10月 高知県情報公開条例の一部改正(手数料の廃止等)
平成 8年 8月 食料費の支出状況公開
平成10年 3月 同条例の一部改正(情報公開を考える懇話会の設置等)
平成10年 7月 予算の根拠となった工事、委託等の箇所付け公表
平成10年10月 入札予定価格の事後公表
平成10年11月 予算要求概要の公表
(1) 県民をまき込んだ予算編成
住民参加の一環として、高知県においては平成11年度予算から「県民のアイデア募集事業」により県民のアイデアを事業化する試みを実施している。平成12年度からは、これを一歩進めた「県民参加の予算づくりモデル事業」として、事業化までを県民と一緒に行う予定である。これらの取組は、住民参加型の予算編成として先進事例であり、他の地方公共団体にとって参考になる点も多いものである。