ウ 「地方交付税の算定方法は複雑すぎてわかりにくい。簡素化すべし。」との議論
国の法令等によって義務付けられた行政サービスの提供→個別団体に対しても的確な財源措置が必要
地方交付税が財源保障の機能を果たすために、全国マクロの数字として必要な額を確保するのはもちろん、個別の地方公共団体に対して説明できるような財源措置をしていく必要がある。
極端な話、人口と面積割だけにすべきとの議論もあるが、例えば介護保険制度について、高齢者人口比率だけで算定すると、実際の財政需要から大きくかけ離れることが予想され、財源が保障されずに仕事ができないということになる。
一方、地方公共団体の方では、算定方式は複雑になっても、より地域の実情を踏まえたきめ細かな算定を望む意見も根強いようである。
エ 「税収が増えれば交付税は減る仕組みでは、地方団体が自ら税収を増やそうとするインセンティブが働かないのではないか。」との議論
基準財政収入額は、その年度の税収見込みの全額を算入するのではなく、道府県の場合80%、市町村の場合75%に限って算入
基準財政収入額イコール税収見込み全体となれば、こいういった議論もあり得るが、実際は、県で80%、市町村で75%の税収が基準財政収入額に算入されているので、残りの20%ないし25%は留保財源となり、自ら頑張って税収を上げれば、一定部分、いわば手取りが増えていくという仕組みになっている。
また、地方税にメニューを定めていない法定外普通税や超過課税も基準財政収入額に算入されておらず、その団体の純増収となり、独自施策に使えるようになっている。細かいところでは、税の徴収率も全国平均でセットしているので、それを上回る徴収分も、その団体に残るものである。