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第4章 地方税財源

 

1 はじめに

地方分権が進展する中で、地方公共団体の財政基盤の強化・充実は喫緊の課題である。これまで我が国地方財政においては、地方交付税制度が団体間の財政調整機能など大きな役割を果たしてきたが、最近の地方財政危機とあわせてマスコミ等でも様々な議論が行われている。本章では、先ずは地方交付税制度に関する最近の議論と、それに関する考察を行うものとする。

次に、地方公共団体の財政基盤のあり方を考える上で、国から地方への税源の移譲は避けて通れない課題である。この税源移譲の正当性を経済学的に理屈づけようとした場合に、その基本的考え方を基礎的な理論から積み上げて、実際にどのような移譲が可能かを考えてみたい。

 

2 最近の地方交付税制度に関する議論について

 

(1) 地方交付税制度の概要

最近、地方交付税制度をめぐり報道関係で議論の的にされることが増えている。これは、昨年来から大都市圏の府県を中心に地方財政危機が叫ばれている中で、地方財政制度の中で目に付きやすい部分として、世間の関心を集めていることが考えられる。以下に、地方交付税制度の概要を紹介し、最近の議論とそれに関する考察を行ってみる。

 

ア 地方交付税の性格

 

●国税五税(所得税、法人税、酒税、消費税、たばこ税)の一定割合とされている地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するためのもので、地方の固有財源である。

 

本来、地方行政に必要な経費は、自ら徴収する地方税収で賄うべきものであるが、例えば一人あたりの47県の税収を比較すると、東京都と沖縄県では約3倍の差がある。同じ税制で地方税制をセットすると、現実問題として、あるところでは税収が大幅に余り、あるところでは全く足りないという状況になる。

そこで、地方税に帰属させるべき一定部分を国税として、国が一旦徴収し再配分するという意味で、地方交付税は、国が地方に代わって徴収する地方税であり、地方の固有財源と位置づけられている。

 

 

 

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