まず、対象船舶の拡大(5千G/T以下から1万G/T以下)については、もともと、海造審予測のプロセスの中で1万G/T以下の予測を実施しており、この値を採用し、見直しの対象とした。
次に、新造船需要短期予測については、海造審予測(ケース1)がやや楽観的であるため、概ね、2000年、2001年については海造審予測よりそれぞれ3割、2.5割程度少ない値を需要予測値とした(但しRO/RO船を除く)。予測値の下方修正については、業界アンケート・インタビュー調査結果を反映させたものである。他方、2002年については、海造審予測(ケース1)をほぼ踏襲した。その背景としては、業界アンケートにおける「3年後(2002年)の新造船需要の対5年前(1994年)比較」に関する設問において最も回答が多かったのが「3-5割減」であり、海造審予測の約4割減と水準が一致することが指摘できる。
さらに、将来の船種別船型については、輸送効率向上の流れの中で、199G/Tに代表される小型船の建造シェアが徐々に減少し、船舶の大型化が進むという考え方に基づき設定した。具体的には次のとおりである。
(一般貨物船)
199G/T以下の建造シェアが1998年11.1%(過去5年間の平均)から2010年に3.0%に漸減する。
(セメント船)
699G/T以下の建造シェアが2000年11.4%から2010年5.0%に減少する。(設定は前回調査研究と同じとする)
(タンカー)
199G/T以下の建造シェアが1998年2.4%(過去2年間の平均)から2010年に2.0%に漸減する。さらに200-499G/Tの建造シェアが1998年11.2%(過去5年間の平均)から2010年9.0%に漸減する。代わって1,000G/T以上の建造シェアが上昇する。(その他の船種の建造シェアは不変)
(フェリー)
1,000G/T以下の建造シェアが1998年15.9%(過去5年間の平均)から2010年に14.0%まで減少する。代わって、2,500G/T以上の建造シェアが上昇する。
以上により予測された船種別・船型別内航船建造需要予測は次ページ表のとおりである。内航船需要全体としては、2001年まで停滞した後、徐々に回復に転じる見通しである。但し、90年代半ばの水準である20万G/T水準に回復するのは2006-2010年であり、正常な建造水準に回復するにはなお、5年以上の時間がかかるものと予測される。