高過給高速舶用ディーゼル機関の過給機アシスト技術の調査研究
株式会社新潟鐵工所
1. 調査研究の目的
近年、高速船用ディーゼル機関は、軽量・高出力化してきている。その際、一般に高過給・大容量の過給機が機関に搭載されるため、機関の低負荷過渡時における過給機の応答特性が十分でない場合がある。そのために、特に港湾内における離岸、接岸時などの低負荷域において急速加速した場合には、排ガス発煙が増大する傾向にある。この低負荷過渡時における排ガス発煙の軽減対策の一つとして、過給機の応答特性を外部からアシストするシステムが有効であると考える。
本調査研究は、過給機アシストシステムを構築して、このシステムの低負荷過渡時における排ガス発煙の軽減に対する有効性を実証することを目的とする。
2. 実施経過
2.1 実施項目
本調査研究では、以下の項目について実施した。
1]減速機の改造設計:減速機へのジェットアシストPTO機能の付加設計
2]減速機の改造装置の製作:1]の製作
3]減速機の改造装置の単体試験:2]の作動確認試験
4]過給機ジェットアシストシステムの設計:システム構成要素の設計
5]過給機ジェットアシストシステムの製作:4]の製作及びシステムの構築
6]高速ディーゼル機関による実証試験: 試験機関によるシステムの効果確認試験
2.2 実施期間
開始:平成10年 4月 1日
終了:平成11年 1月29日
2.3 実施場所
実施場所:株式会社新潟鐵工所 太田工場
尚、上記2.1の実施項目のうち、1]〜3]項は、新潟コンバーター株式会社 大宮工場殿の協力を得て実施した。
3. 実施内容
3.1 過給機アシストシステム
構築した過給機アシストシステム構成図を図1に示す。また、ジェットアシスト装置付過給機の断面図を図2に示す。
本システムは、ジェットアシストPTO付減速機、スクリューコンプレッサ及びジェットアシスト装置付過給機から構成されている。ジェットアシストPTO付減速機で駆動されるスクリューコンプレッサが発生する圧縮空気を、過給機のジェットアシストインサート孔を介してコンプレッサインペラへ吹き付けて、過給機の応答性をアシストするシステムである。