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欧米や東南アジアの企業が認証取得に熱心なのは、それが信用に関わり取引に影響するからとされる。一般的に、この規格の特徴の表側「外部品質保証:客先に信頼感を与え満足してもらう」に力点が置かれるのに対し、これまでの日本では裏側の「内部品質保証:この導入を契機として企業自身の品質管理体制を整備し、体質を改善しよう」が認証取得の誘因となってる例が多かったようである。もっとも最近は急速に様子が変わってきて、中型造船所が目的として「インターネットで造船所名を出しても、どんなレベルか分かってもらえない。ISOを取っておれば、それなりに認めてもらえる」と言出している。

 

一方、デメリットとしては、審査登録料金だけでなく、文書化を始めとする準備に、かなりの初期費用が掛かる点がある。維持の費用は、これに比べれば大したことはない。

審査機関については、硬軟あるとか、主任審査員の性格によるとか、とかくの噂はあるが、やがて落ち着いてゆくはず。申請手続き、予備審査など、本質的でない話と併せて、ここでは触れない。

 

ISO-9000の規格の種類

 

シリーズとして、現行では、

・8402:品質用語、

・9001〜3:品質保証の要求事項、

・9004-1:品質管理の指針

…などがある。

船舶新造の造船所での審査基準規格は「設計から据え付け及び付帯サービスまでの、すべての範囲を対象とする」ISO-9001。

設計段階や完成後業務を含まない修繕専門工場やブロック組立専用工場ならば、より要求範囲の狭いISO-9002でよい。9002の内容は、9001のその範囲と、まったく同じもので、やがての2000年改訂では一本化される。

したがって、以下、9000Sを9001にて代表させる。

 

ISO-9001の品質システム要求事項

 

規格内容は20項目で、一つひとつの項目自体に具体性はない。これまでに品質管理が適切に実行されていれば、その現状を生かし、要求事項に添うよう文書に明示すればよく、体制を変える必要はない。一律に縛る約束事ではないのである。

項目毎に要点をピックアップして、私なりの解説をしてみよう。

 

1. 経営者の責任

品質保証は経営者からのトップダウンで行うのが基本で:−

*品質方針[船主にしめす造船所の目標]の明示、

*組織の[責任と権限、実行に必要なヒト・モノの裏付け、など]明確化、

*マネージメント・レビュー:経営者による実行状況の反省見直しの実施

…が要求されている。

 

 

 

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