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[3]19GT型水産高校小型実習船の材質別比較について

 

最近19GT型水産高校小型時実習船の建造量が増え、その中でもアルミ合金製の増加が目立つので、果してアルミ製がFRP製に対して優位性を持つのか否かにつきマクロかつラフなチェックを行った。

 

1. 19GT型水産高校小型実習船の設計上の特徴

 

1)一級小型船舶操縦士養成のため、実習船はGT20トン未満、全長20m未満、登録長15m未満、適正出力主機1機1軸(一級免許無関係ならば制約なし)。

2)各種実習用装備品が多い。沿海仕様のものもある。相対的に軽荷重量は重い。

3)速力域(試運転)はフルード数(v/√gLR)で約0.8〜1.0の範囲、速度長比(V/√LR)で4〜6の範囲で、半滑走の領域にあるのが大部分。

4)基本設計並びに監督は殆ど(社)漁船協会。従って設計ポリシー殆ど同一でパラエテイに乏しい。

 

2. 軽荷重量及び推進性能についてのラフ比較

 

上記設計制約下でも各学校の要求による船型差(主要寸法比、船型要素)、仕様差、主機型式及び出力差等により、軽荷重量や速力にかなりのばらつきが見られる。比較のためにはこれらを横通しの上レベルを揃えなければならないが、発表データが少ないため、軽荷重量については便宜上機関部と定員に関する重量修正のみを行って比較することとした。

 

1)Table 1 各船の主要目表(含速力試運転成績)

2)Fig.1 各船の一般配置図

3)Fig.2 代表船の中央断面図(FRP製、アルミ製)

4)Fig.3(a) 軽荷重量(LW)/CN(=LR・BR・DR)

5)Fig.3(b) 修正軽荷重量(修正LW)/CN(=LR・BR・DR) (重量比較メジャー)

6)Fig.4 試運転速力〜馬力曲線

7)Fig.5 VT/△T1/6〜主機出力(PS)/△T・VT (推進性能比較メジャー)

VT : 試運転速力、△T:試運転排水量

 

備考 : 1)修正LW=LW-機関部重量(推定値)-最大定員数リンク艤装重量(推定値)

●機関部重量=主機乾燥重量+1.25×10-3×主機定格出力(t)

●定員修正重量=22人をべースとし、これを超えるものは1人当り船体・艤装重量を60?s/人として修正。

 

3. 検討結果

 

細部の詳細分析による比較でないと結論を誤る恐れがあるが、詳細データ不足のため極くマクロかつラフな検討しかできない。上記の比較データから概括的な傾向については  次の様に言える。

 

1)最近アルミ合金製が増加傾向にあり、その理由として軽荷重量を低減するためと云われるが、FRP製、アルミ合金製両者の軽荷重量には特に有意な差は認められないように思われる。

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3)ランニングコスト(修繕費等)、耐用年数当については別途考慮。

4)建造予算、建造コストと(財)材質上の得失等を総合した検討・判断が必要と思われる。

 

 

 

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