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Photo.5.2 6005A-T5合金系の開先におけるマクロ組織(厚さ4mm、押出しのまま)35)

 

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Fig.5.31 超音波探傷試験で検出された融合不良をもつ5083合金25mm板突合せ継手のS-N線図37)

 

また、溶加材としては、5356合金よりも4032合金を用いた方が前述と同様に優れた疲労強度が得られている。結論としては、8]、9]合金のように微細な再結晶組織(結晶粒度0.05〜0.5mm、Photo.5.2(c)参照)が望ましく、また、Si量を6005A合金の上限値(0.9%)よりも十分低く抑えることで結晶粒界開口を避けられる、と述べている*5.17

 

5.4.2 融合不良

 

融合不良(lack of fusion)は、溶接金属と母材の間、又は溶接金属と溶接金属の間が融合していない状態をいい、5083-O合金厚板の多層盛り溶接等の場合に初層或いは二層目以降の開先面に生じやすい。溶接条件によって影響を受けるが、特に電流と開先先端形状の影響が大きい36)

Fig.5.31は、5083-O合金25mm板の多層盛りミグ半自動溶接突合せ継手において、健全材と裏はつり後の裏溶接に発生した融合不良を持つものとのS-N線図(平均応力σm=8kgf/mm2、試験片幅50mm)の比較37)である。後者の欠陥は超音波探傷試験で検出されたもので、板厚の1/2〜1/3の位置に生じており、放射線透過試験等級分類では旧JIS規格のA級であった。

余盛ありの場合には、融合不良材は健全材の実験点のばらつきの範囲にあり、いずれも止端破壊である。

 

 

 

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